★★★(三ツ星)

「古新聞三段活用」by id:Catnip


私は新聞の極限までの活用を目指しています。
まず第一段階は情報の活用です。古新聞というと「古紙」という物理的リサイクルが最初に来てしまう方が多いと思いますが、新聞の本来の使命は情報ですから、そのリユースが欠かせないと思います。ですから、古新聞はまずスクラップします。
ただし、政治経済や社会面の記事などをいちいちスクラップしようとすると、記事量が多くて手に負えなくなって結局挫折しますから、そういう情報はもうネットに頼ると割り切って、主に家庭欄の暮らしに役立つ記事とか、国際欄の興味深い記事とか、珍しい広告とか、連載小説、漫画などを切り抜いています。
スクラップはあれもこれもと欲張らず、全日制覇しようなどとも野望を燃やさず、気が付いた記事を気が付いた都度切り抜いていくようにするのがコツだと思います。
スクラップの台帳には、町でもらえる求人などのフリー誌を利用しています。


第二段階は、余白の活用です。これはイエはてなでのどなたかの書き込みを読んで始めたものですが、新聞広告には大きな余白を取った物が結構ありますから、その余白を切り抜いて、システム手帖のリフィルに活用するのです。新聞紙の余白で作るリフィルは気軽に書き散らせますし、紙の厚さも薄いのでたくさん綴じ込めて、雑用のメモに使うにはもってこいです。裏の印刷は、リングの利き手側のページにしか書き込まないと割り切れば、全く問題になりません。


第三段階は、古紙としての活用です。できるだけ使い捨てにならない活用方法を模索します。古新聞といえども貴重な木材資源ですら、できるだけ後に残る使い方をしていきたいのです。ですから、新聞紙でゴミ箱を作って箱ごと捨てるとか、汚れ物を拭くとか、千切って濡らして掃き掃除に使うなどの方法は、私はあまり積極的にはしていません。ワンウェイユースで結局ゴミにしてしまう使い方ではあまり意味がないと思っているのです。それならば古紙回収に出した方が地球のためになると考えています。
しかし、ワンウェイユースではありますが、今考えているのは、古新聞のサーマルリサイクルです。切っ掛けは、古新聞を素材にしたペレット燃料のニュースでした。おそらく古新聞利用の燃料とは、古新聞を紙粘土状にペースト化して、圧縮して固めた物だと思うのです。実際には違うのかもしれませんが、おそらくそれでいけると思うのです。
試しに古新聞を千切って水でふやかし、それを圧縮して固めて乾かして燃やしてみました。それのみでは全く火が付きませんでした。しかし予め薪などで火を熾している中に投入すると、メラメラと炎を出しては燃えませんが、まず熱によって炭化して、それが炭のように燃えていく様子が観察されました。したがって薪や炭などと一緒に使う補助燃料としてなら、十分使えるという感触を得ています。
紙を燃やすことの環境への影響は、十分検討しなくてはなりません。しかし、少なくとも化石燃料を消費するよりはマシなように思えます。また燃やした後に排気されるガスはおそらくほとんど木材を燃した場合と同じでしょうから、それならば薪ストーブや薪で炊く風呂には十分使えると考えることが出来ます。
昔はおじいさんは山に柴刈りに行って燃料を得ていましたが、現代人は古紙を圧縮して燃料にしてもいいのではないかと思うのです。こうした使い方なら、掃き掃除のホコリ防止用に使った古新聞でも、窓拭き用に使った古新聞でも再活用が可能です。少なくともワンウェイではなくツーウェイで活用出来ます。


古新聞のサーマルリサイクルについては、一応今のところはまだ検討中というところですが、その副産物として、紙粘土作りもしてみました。古新聞を水でふやかして、練ってドロドロにして糊を加えると、なかなかいい紙粘土になります。市販の紙粘土は鉱物素材を混入して、適度な重量感と、粘土としての滑らかさを出しています。そこで私は鉱物素材として、使い残しのセメントを混ぜてみました。セメントは骨材として砂を混ぜると固まった後がザラザラになりますが、セメントの粉そのものはきめ細かな粒ですから、古新聞の紙粘土に増せると、とてもいい感じの滑らかさになります。
こうして作った紙粘土を角材で作った枠に盛り上げて、油絵の額みたいな物を作ってみました。剥離防止用として角材に木工用ボンドを塗り、その上に紙粘土を盛って、ナイフと竹串をヘラ代わりに使って模様を付けていきました。完全乾燥した後に金色のスプレーラッカーを塗ったら、なかなか立派な額が出来ました。これにリトグラフ調の雑誌付録の絵を収めてみたら、なかなかいい壁の飾りになりました。


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★★★ ミシュランコメント

古新聞の活用はこれまでにもいろいろと語られてきましたが、これほどまでに徹底探求されたメッセージがあったでしょうか! とりわけ、燃料として活用する研究、さらに粘土という画材に仕立てて、実際に素敵な作品まで作ってしまうとは、本当に素敵です。こちらも、新聞紙という変哲のない廃物を、実用品からアートまで、広く創造的な発想でさまざなに変身させるアイデアが秀逸。間違いなしの三ツ星です!