ダンボール箱で作った隠れ家」by id:YuzuPON


材料になったのは、電気製品の梱包に使われていたダンボールでした。大きな箱だったので、おそらく冷蔵庫か洗濯機が入っていた箱だったろうと思います。それを父が小さな家に改造してくれたのです。
他のダンボールを足して三角の屋根を付け、箱の側面には窓と扉が開けられていました。窓の内側には母が余り布でカーテンを付けてくれました。扉もちゃんと閉めることができるので、閉めると中はすてきな子供の隠れ家になります。
箱の中には座布団を敷いてもらいました。箱は壁際に置かれましたので、壁に接している側なら寄りかかってくつろぐこともできます。今思えば小さな箱ですが、小さな子供には十分な大きさでした。
私はその箱の中が大のお気に入りで、毎日その中で遊んでいました。自分が中に入っていない時は扉を開け、入り口に当時大好きだったワンコの縫いぐるみを置きました。ワンコのお留守番です。
その家は、一度は崩壊の大惨事にも見舞われました。中でウトウトしてしまった私は、寄りかかる方向を間違えて、窓が開けられた側に背をもたれさせてしまったのです。背中を支える感触が弱いのに気付いて、しまったと思いましたが、もう箱はひしゃげてしまっていました。子供心に自分で自分のしてしまった失敗が許せなくて、泣くに泣けずに涙をこらえていると、母がガムテを持ってきて、別のダンボールで補強して直してくれました。その後父が箱の側面をぐるりと模造紙で覆ってガムテを隠し、下の方にはカレンダーか何かの花の写真の切り抜きを貼ってくれました。崩壊した家が、花壇に囲まれた真っ白な家に生まれ変わったんです。父が早く中に入ってごらんと言いましたが、私はもっと外側から眺めていたくて、入り口を開けて犬のぬいぐるみを置いて、ずっと生まれ変わったそのダンボールの家を眺め続けていました。
先日猫の寝床をダンボールで作っていたら、母に、あなたも子供のころダンボールの家に住んでたねと笑われてしまいました。猫のダンボールを、幼かりしころダンボールハウスがあった場所に置いてみました。猫が入ったダンボール箱を眺めながら、子供時代の懐かしい思い出に浸りました。


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