「作法の知識は食べる人より作る人に大事」by id:TinkerBell


うちの母は、特に和食の作法を大切に考える人です。
食べる立場としては自由に食べていいけれど、
作る立場になったら一応基本的な作法を知っておかないと困るのよと、
さいころから聞かされていました。
たとえば天ぷらを揚げます。
色々な材料を揚げていきます。
さて、どんな順番で盛りつけていったらいいでしょう。
答えは、味のしっかりした物を奥の方に、手前にくるに従って淡泊な味の物を並べていく、です。
和食は天ぷらやお刺身など、複数の素材が盛り合わせになることがありますが、
そういうお皿の場合、淡泊な味の物から食べていくという一種の決まり事があるんです。
ですから、作る側としてもそういう作法を知って、
食べるお勧め順に取りやすく並べて盛っていくことが、
おいしく、そしてきれいにスマートに食べていただくための心づかいということになるんです。
そのほか和食にもいくつかのタブーがあります。
特に和食は元々は一人一人の個別のお膳に乗せて供された物ですから、
一つのテーブルをみんなで囲んで食べるような時には、
そういうタブーに引っかかるような動作が起こりやすくなります。
そういう動作が出来るだけ起こりにくい配膳が工夫できたら、作り手として一人前。
それがうちの母の考えです。
家事としてそこまで考えていると面倒で嫌になってしまいますが、
趣味の知識として作法を憶えながらそれを応用していくと考えると楽しいよと言っています。
私も最近ちょっとずつそんなことがわかってきました。
食べる人としてではなく、作る人としての作法の知識、大切です。


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