「父の田舎でできた一日だけの級友」by id:momokuri3


夏休みに、父の田舎に連れていってもらいました。するとちょうど到着した時にご近所の人が来ていて、私と同じ学年の子供がいるからあとで遊びにこさせると言ってくれたのです。しばらくしてその家の子がやってきました。同じ学年なので私たちはすぐにうちとけて、一緒に外に遊びに出かけました。色々な所を案内してくれて、一緒にアイスを食べたり、畑で売っている一かご100円のトマトを買って食べたり、とても楽しい一日を過ごしました。


別れ際にその子は、びっくりな提案をしてきました。あさってが学校の登校日なので一緒に行こう、みんなに紹介してやるよと言うのです。私は勝手に学校に行ったらまずいだろうと断ったのですが、大丈夫だから行こう行こうと何度も何度も誘ってくれます。そこで私もドキドキしましたが、わかったと返事をして一緒に学校に行ってみることにしました。


翌々日の朝、その子が迎えに来てくれました。見知らぬ通学路を二人で登校です。校舎が見えてくると、とても緊張してしまいました。しかし校門の近くでその子の友だちが声をかけてきて、私を含めて5人くらいで校舎に向かうことになりました。昇降口を上がる時に上履きが無いことに気が付きましたが、親戚の家に行っていて欠席だという子の上履きを借りてしまいました。


教室に入るともう子供がたくさん集まっています。私を誘ってくれた子が大きな声で「ちゅうもーく」と叫んで、みんなに私のことを紹介してくれました。さっそく、どこから来たの、いつまでいるのと、まるで転校生みたいな歓迎です。


教室に先生がやってきました。一瞬逃げたくなりましたが、すぐにその子が先生に私を紹介してくれました。先生は優しそうな中年の男の先生で、○○さんのお孫さんか、○○さんなら先生もよく知っているよと、やさしく声をかけてくださいました。黒板に名前を書いてみんなの前で自己紹介をして、私は一日だけのクラスの一員になりました。


登校日の行事はすぐに終わって下校ですが、みんなそのまま学校に残って校庭で遊びます。私も入れてもらって、みんなで遊びました。校庭は照りつける日差しで焼けるようで、みんな頭から水道の水をかぶります。私もバシャバシャかぶりました。すっかりみんなと仲良くなって、夕方のチャイムが鳴るまで遊びました。帰ると腕も顔も日焼けしていて真っ赤でした。


そして今日帰るというその日、クラスのみんながやってきてくれました。みんな、来年も来いよ、待ってるぞと言ってくれて、ハガキ大の紙ですが、なんとみんなの寄せ書きまで贈ってくれました。まるで転校していく生徒のようで、私はちょっと涙ぐんでしまいました。一日だけ机を並べた級友。でも本当の私のクラスの級友に勝るとも劣らない大切な大切な級友たちに、私は心からのありがとうを言って別れました。


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