「一番大切なものを取り上げられるお仕置き!!」by id:TinkerBell


普段はあまり激しく怒ったことのない父が、ある時顔を真っ赤にするほど怒りながら、
「もう今日という今日はかんべんできない、お前の一番大切なものを取り上げる、何が一番大切なのか正直に言え」
と怒鳴りました。
怒鳴られて恐くて何も言えないでいると、両肩をつかまれて顔をぐいと近付けられて、もう一度、
「お前の一番大切なものを言え!!」と怒鳴られました。
私は泣きながら必死に「おとうさん!!」と叫んで、
さよならっと父の手を振りほどいて駆けだしました。
行く場所がないのでバスルームに逃げ込んでしゃがんで泣いていると父がきて、
「お前ほかにもっと大切なものはないのか」と言うので「おかあさん」というと、
父は「許す」と言って泣いている私の頭の上に手を置いてくれました。
今でも時々、あの時お前はずるかったよな、
あんなこと言われたら許さないわけにいかないものな、
とからかわれますが、ずるくなんかないですよね。
子供にとって一番大切なものが父母なのは当たり前です。
あの時は本当に、お父さんを取り上げられてひとりぼっちになってしまうんだと思って
目の前が真っ暗になる気持ちだったんです。
今「一番大切なものを言え」と言われたら、なんて答えるかなぁー。
今でもとっさに「お父さん」って言えるかなぁー。
それはなぞです。でも、言えるかもしれません。


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