「名物ぎゅうぎゅうお弁当」

「名物ぎゅうぎゅうお弁当」by ハザマ

母の味。一番に思い出すのは、運動会や遠足のお弁当、高校3年間作ってもらったお弁当です。お弁当って、わりとおうちによってこだわりがありませんか?
うちは、おむすびは俵むすび、玉子焼きは甘くない塩味。おかずは色々でしたが、大好きだったのは鶏肉や牛肉の甘辛煮やピーマンの肉詰めかな。
そして今でも級友と会うと語り草になっているのが高校時代の「名物ぎゅうぎゅうお弁当」なんです。牛々じゃありません、ぎゅうぎゅう詰めです(笑)。とっても大食だった私は、普通のお弁当箱では全然足りなくて、自分で、冷蔵保存用に使うパッキンのしっかりした容器を買ってきました。15.6センチの真四角で、深さは7センチはあったと思います。母に、これをお弁当箱にしてくれと頼んだのです。母はその大きさにギョッとしていましたが、次の日に出来たお弁当を見て今度は私がギョッとしました。何だか見た目が断面図っぽい…と思ったら、何もかもが見事にタテに入っていたのです。ウインナーもアスパラガスもポテトも…プチトマトは3個積み2列、玉子焼きは厚く切ったのを二段式に、といった具合。お弁当箱の高さに合わせて隙間なく詰めようとしたら、こうなった…と、母。ごはんは三段の層になっていて、間におかかや海苔をはさみ、上にはふりかけ。そのぎゅうぎゅうっぷりはたちまち注目の的となり、他のクラスからも「見せて、見せて!」と来てました。
母も、寸分の隙なく詰めることにやっきになり、毎日完璧な仕上がり!これを私は3年間持って通いました。今も忘れられないあのずっしりとした重みは、思えば母の愛の重量。おかげで丈夫に元気に育ちました!味より量の話で恐縮です(笑)。

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