「幼年から今年まで……仲間や家族とのひと夏の思い出」

#004テーマ
「幼年から今年まで……仲間や家族とのひと夏の思い出」


さて、今日は“ディア・ライフ”#004の語らいのスタートです。イエと暮らしの小さな物語、今回はちょうど夏休みシーズンということもあって「幼年から今年まで……仲間や家族とのひと夏の思い出」をお題にしてみました。子どもの頃の忘れ難い夏の記憶はもちろん、学校時代の仲間との思い出、これまでに兄弟や家族で過ごした夏の日のこと、そしてまさにこの夏胸に刻まれたエピソードまで……。夏の思い出、みなさまはどんなことを一番に思い浮かべられるでしょうか? ぜひゆっくりと振り返りながら、幸せなサマー・メモリーを聞かせてください。“ディア・ライフ”第4章、今回もみなさまの人生のページに残るショート・エッセイを楽しみにお待ちしています!


“アイデア・タイトル”
「大切なことを教えてくれた、いとこ姉貴&仲間たちとの夏」
by hazama


“メッセージ”

この思い出は、少し切ない記憶も一緒になるので書こうかどうか迷いました。でも、私にとってかけがえのない夏の日を、綴り留めておこうと思います。


私が小学6年の夏休み。私は親戚の中で唯一遠いマチに住む、山口のいとこのイエに遊びに行くことになったのでした。いとこといっても、父のひと回りも年長の叔父の娘で、当時すでに20代前半の社会人。TONKO姉ちゃんと呼んで慕っていた大姉貴です。


折々に家族で行き来をしていた、TONKO姉ちゃんのうち。いつも男の友達も女の友達もいっぱい来ていて、叔父さんとも叔母さんとも気心知れて、みんな家族みたいで賑やかでした。私には、ちょっと変わったうちだけど楽しいなぁという印象で(笑)。そしてその夏は私一人でTONKO姉ちゃんと仲間たちと夏休みに参加です。もぅワクワクうれしくてたまりません。今も覚えています、平和公園まで、わざわざ姉ちゃんと友達が車で迎えに来てくれたこと。そのドライブから私は広島を離れて、ちょっと大人な人たちの仲間入りです。車の中では、長渕剛さんの「巡恋歌」や「順子」が流れていました。


夜に着いた山口では、山中の居酒屋で有名な「山賊」で他の仲間たちと合流。明日から一緒に光市へキャンプに行くのです。みんなTONKO姉ちゃんの中学や高校からの同級生。なかにはその兄弟姉妹も。その誰もがまだ小学生の私を歓迎してくれて、すぐに友達として一人前にしてくれたのがうれしかった。その晩はみんな姉ちゃんのうちに泊まって、そこからキャンプへ出発。


バーベキューの買い出し、林間のキャンプ場でテント張り、食器や椅子の準備、火を起こす、食材の下ごしらえ、洗い場仕事、寝床作り。キャンプのすべてがはじめてという私をちゃんと交えて、仲間として一つひとつ教えてくれながら、どんな時間もみんな一緒に過ごしてくれました。私が教わったのは、キャンプ体験だけではなかった。人と一緒に寝食をともにする時間とともに、楽しさを生み出すハート、心置きなく言い合いながらも常に自然に互いを思いやっている本当の気さくさ、そんなものをこそひしひしとうれしく感じたのです。何て素敵な仲間なんだろう! それは、TONKOと呼ばれて男女の別なく愉快に人を集めている姉ちゃんの比類なくチャーミングな人柄にも因っていたでしょう。私がキラキラと素敵なその夏を過ごせたのも、TONKO姉ちゃんのおかげ。


その後、TONKO姉ちゃんは仲間の一人の男性と結婚して、二人の子どもが産まれて、私たちは変わらず交友していました。けれどまだ上の男の子が小学校に上がったばかりの時、体の不調の知らせを受けて間もない梅雨の日、TONKO姉ちゃんの不意の訃報が届きました。まだ30歳を少し過ぎたところでした。どうして、なぜ……。言葉もなく出向いた山口で、あの仲間たちとのさびしさに満ちた再会。私たちばかりでなく、天の神様にも愛でられて、召されて行ったのだろうと話したことでした。


今も、TONKO姉ちゃんが好きだった「順子」の曲を聴くだけで涙があふれてきますが、まるで夏の太陽のようにカラリと明るく人を照らして幸せな気持ちにしてくれた姉ちゃん&HER FRIENDS、あの夏教えてもらったたくさんの大切なことを、生涯胸に抱きつづけたい。そして、心からありがとうを繰り返したいです。


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※今回の「いわし」ご投稿は8月23日(月)正午で終了とさせて頂きます。
※今回のピックアップ賞は8月24日(火)に「イエはてな」にて発表いたします。
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