「農道街道をゆくby id:Lady_Cinnamon


住宅街のヤマモモ通りを下っていくと、マチ中に田んぼや畑があります。田んぼの端まで歩くと、けっこうハァハァ息も上がってくるくらいの距離なんですが、農道街道と名付けて散歩をしたりサイクリングコースに入れたりしています。


春先にはこの農道街道がレンゲ街道となります。田んぼに沿って淡い赤紫のレンゲが咲き乱れ、側溝に降りるとミツバチたちがせっせと蜜集めをしています。また畑には食用の菜の花が咲いていて、こちらでもミツバチたちがブンブン忙しそうに飛んでいます。レンゲも菜の花も、とてもいい香りがするんです。これが農道街道の春の香り。



八十八夜を過ぎる新緑のころは、農道街道の隅にある小高い丘に、点々とある茶畑から新茶の香りが漂う時期。こちら静岡では、山間の広大な茶畑だけでなく、ちいさい地所にも茶畑が多々点在しています。住宅地やショッピングセンターの近くにもあるくらい。1番茶を摘んだら、次は夏に向けて2番茶3番茶の芽が出てきます。


盛夏のころ、田んぼには稲が青々と茂っています。朝の5時には表も明るくなるので、涼しい早朝6時ころに農道街道へむけて出発。今年もいい米になれよと、案山子の真似をしながらセルフポートレートを撮ります。日が高くなるにつれ日差しで肌が熱くなりますが、朝のうちはそよ風が心地よいです。


秋。小春日和になるころは、農道街道は桃色や橙、黄金色に染まります。田んぼの側溝よりには、可憐で色とりどりのコスモスが咲き、高台からみるとコスモス街道といった感じ。「秋桜」と書くだけあって、風に吹かれるそのさまはまるで幻想的でもあります。一方、頭を垂れた稲穂は黄金色を放ち、今年も美味しいお米が食べれるぞと、食欲の秋をほうふつさせてくれます。



晩秋にもなると落ち葉が風に舞い、散歩の時間は日のある夕方まで。農道街道では稲刈りも終わり、田んぼは稲藁に覆われます。畑では里芋の茎もたれ、小芋の収穫がされているところもちらほら。農家のお宅なのか、この時期には干し柿も軒先につるされています。冷たくなってきた風にあたりながら、農道街道から帰ってきたら、実家でも干し柿づくりの手伝いです。


真冬の散歩は年末年始で忙しくなりがちで、仕事の行き帰りコースが中心になります。ただ、1月初旬に咲くお茶の木の花を、奇麗な状態で写真に収めたことがないので、毎年年末から1月中旬くらいまでは、時期を見て農道街道に点在する茶畑を見回ります。ほんの短い間、とくに朝の姿が美しいといわれているお茶の花。今度こそは極寒の中でも、その美しい瞬間を収めてみせます。


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