「廃材は宝の山」by id:Fuel


うちでは母も、アカウントを持っていないので書き込み参加はしていませんが、イエはてなのファンでよくここを覗いています。今回のテーマが出た時、真っ先に、あなたが書くとしたらあの廃材の山のことね、と言われてしまいました。
家を建てる時、材木の切れ端を、ベニヤで作った箱の中に放り込んでいたりしますが、まさにそれを丸ごともらって来たのが、わが家の廃材の山なのです。狭い物置の一角に、建築現場のベニヤの箱そのもののような物を作り(もちろん材料は廃材です)、そこにぎっしり詰め込まれた廃材は、私にとっては宝の山です。
譲ってもらった建築現場は、今では珍しい本格的な在来工法の家作りの現場でした。現場ではノミを使わないプレカットではありますが、材木はきちんとホゾで組み立てられていきます。耐震設計の関係で補強金具が使われますが、大工さんが仰るには、本当はこんな金具に頼らない方が強度が出せるんだよ、だって昔の神社仏閣や民家をごらんよ、法律だから仕方なく使うけどさ、とのこと。
そんな腕に憶えの大工さんが建てる家ですから、廃材もいい物がどんどん出ます。杉は目の詰まった良質の物。きっと寒冷地の杉でしょう。美しい木肌をした香りの良いヒバもあります。作業を見学させてもらいながら、これって主に東北の材木じゃないですかと聞くと、その通りだよ、君はいい目をしているね、板前が素材選びに料理の大半の労苦を費やすように、大工も材木選びに努力しているんだ、それが分かる人がいるとはうれしいねぇとのお言葉です。
こうしてお褒めにあずかったついでに、調子に乗って、これもし不要なら分けていただけませんかとお願いしてしまったのが、私にとっては幸せの始まり、母にとっては邪魔物と同居の始まりでした。
おお、いいよいいよ、俺も木と共に生きてきた男だ、産廃に出すより大切に使ってくれる人に受け取ってもらえたら何より嬉しい、免許持ってるならうちの軽トラ貸すから好きなだけ積んで持っていってくれよと願ってもないお言葉に、甘えまくっていただいてきた廃材の山。
もう数年前のことになりますが、様々な工作に活用しつつ、今でもまだ大量の良質の材木が山になっています。家が片付くことが肩の荷が下りることという母には本当に申し訳ないと思いますが、イエの中で役立つ物も作りますから、どうかご勘弁ください。
付き合っている女性が家に来た時、母はここぞとばかりに物置を見せて、ほらこういう趣味の男と付き合ったら苦労するよと吹き込んでいたそうです。彼女から真顔で、私片付いた物置の家は諦めたから、せめて暮らしの部屋にまでは持ち込まないでよねと言われました。これって、結婚を前提にお付き合いしてもらっていると解釈していいのでしょうか。そんなことも思いながら、廃材の山を前に幸せに浸っている私です。


»このいわしのツリーはコチラから