★★★(三ツ星)

「冬に楽しみたい、草木染め」by id:MINT


植物から染料を取り出して染める草木染めは、多くの場合、まるで煮物のような作業になります。草木から色を取り出すために煮るでしょ。染める段階でも、糸や布を煮込むことが多いんです。さらにこれは熱湯でするわけではありませんが、染め上がりをよくするためには、糸や布をあらかじめお湯でよく洗っておくといいんです。
とにかくそんなわけで、染め物って、とても暑い作業です。だからこれはとても冬向き。基本的に火を使っているときは換気が必須ですし、染料とする素材によっては、煮出すと匂いがすごくて窓を開けてしまうこともありますが、それでも火のそばにいると輻射熱であったかですよね。それに草木染めは優しい色に染まりますから、心もほっと温かくなります。
もちろん草木染めには四季折々の植物を使っていきますから、素材的には冬はあまり恵まれていない感じですが、でも、植物ならたいていのものから染料が取れますから、野菜やくだものなどを材料にしてもいいんです。さらには植物の加工品、たとえばジャム、香辛料、ジュース、コーヒー、ココア、紅茶、各種ハーブティー、何でも染料にできちゃいます。これなら冬のキッチンで温かさを楽しみながら染めていくのにぴったりですね。
さらに冬ならではの素材として、枯葉や枯れ草、枯れ枝などを材料にして染めてみるのもお勧めです。一年のつとめを終えた草木たちが、布の上にもう一度「色の春」を迎えるんですよ。すてきでしょ!媒染剤によって染まる色は変わってきますが、茶色く変色した植物たちが春らしい色を表してくれると、枯れた植物にもこんな色が入ってたんだと感動します。
染め物は火や水や鍋を使うので、お料理とよく似た所が多いですが、いくつか注意事項もあります。たとえば、
・使う鍋やボウル、バットなどはホーローかステンレス製とすること。
・染料にする素材や媒染剤などには毒性のある物もあるので、それらの取り扱いには十分注意すること。
・染めの作業をしているときは、少なくとも媒染剤を使う段階以降は、完全に片づけを終えるまでぜったいに並行して食べ物を取り扱わないこと。
などの注意が必要です。だから、キッチンでやる場合は、一日の家事を終えた夜が使いやすいかなぁ。それに染め物は一種の化学実験みたいな感じで、水の量とか材料の重量とか、染料の温度などをこまめに計って記録しておかないと後日同じ条件が再現できませんから、そういう点でも……。
そう、染め物って、魔法使いみたいなんです!!
魔女じゃいやだから、ここはひとつ魔法少女ってことで、マジカルステッキを一振りしながら、優しい色になれ〜♪
染め上がった布で春の変身用ワンピースを縫う、なんていうのもすてきな冬仕事になりそうですね。


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★★★ ミシュランコメント

ナルホド、たっぷりのお湯を使う草木染めは、冬にあったかく手仕事を楽しむ素敵なアイデア! ジュースや香辛料が染料になるのもオドロキですが、冬の枯れ木のお話が素晴らしいです。「一年のつとめを終えた草木たちが、布の上にもう一度〈色の春〉を迎える」…ホントに魔法みたい。どんな色を見せてくれるのか、これはぜひいろいろ実験しなければ♪ それにそれに! 「春の変身用ワンピースを縫う」なんていう発想も、なんてチャーミングなんでしょう。コトバだけでこんなにあったかく幸せな気分を伝えて下さったメッセージ、これは満場一致で★★★に決定でしょう!!