記念日ではないけれど、忘れられない思い出の日付

#040 お題
記念日ではないけれど、忘れられない思い出の日付」を教えて下さい


“ルポ・タイトル”
「1999年6月30日、梅雨に3日3晩をかけた愛猫との出会い」by ハザマ


ルポルタージュ
これまでにたくさん我が家の猫たちのことを書いてきましたが、季節とともに一番忘れられないのが、この日のこと。少しお話したことがあるかも知れませんが、私の一人暮らしの部屋にはじめてやってきた猫、ミューとの出会いの日です。


私は京都に住んでいて、ちょうど新しく見つけた集合住宅に住みはじめて間もない頃。毎日のように「猫と暮らしたい」と言っていました。その願いを聞いたかのように、ある夜、外で子猫の鳴き声が聞こえました。季節は梅雨さなか。大降りの雨にかき消されそうな声です。私はすぐに傘を持っておもてに出ました。どうやら畑をはさんだ隣りにある駐車場の方から聞こえてくるようで、懐中電灯で草むらや車の下と、あちこちを探し回りました。けれど、近い気がする…と思うと声が聞こえなくなるのです。何かを察して、泣き止んでしまう感じです。でも姿は見当たらない。あきらめて部屋に戻ると、また鳴き声が聞こえてくる…。


次の日も、昼間は聞こえないのに、夜になってまた鳴き声が。大雨の中をまた探し回り、その翌日も同じように…。母親とはぐれていることは間違いなく、3日目ともなるとさすがに命が危ぶまれると思い、声が止んでも絶対に探し出そうと傘も投げ出して全身ドロドロで這い回りました。もしやどこかにはまり込んで動けないのかも…と、下水路のコンクリートの蓋も力づくで持ち上げて中に入って探しました。
でも、見つからないまま空はしらじらと明けはじめ、くたくたになって部屋に帰りました。…と、少し小降りのなった雨にまじって、鳴き声が聞こえたのです。私はまた外に飛び出しました。すると、駐車場の方から道路をひょこひょこと1匹の子猫がこちらに歩いてくるではありませんか…! 思わずその雨の滴る小さな体を抱き上げて、急いで部屋に連れて入りました。3日目の夜は明けて、日付は6月30日になっていました。


ミューミューと鳴く子の毛をドライヤーで乾かして、カイロをくるんだ寝床に寝かせて…朝になると哺乳瓶を買いに走ったり、お風呂に入れたり、それからはてんやわんやの子猫育てに首っ引き(笑)。
すぐに見に来た友達が言うには、「この子はきっと隠れて見てたんやね。あの人んとこ行こう思って出てきたんやわ」。それはどうか分かりませんが、ともかくうちへ来てくれた。小さいのがこっちに向かって歩いてくる姿が目に焼き付いて、何となく運命めいたものを感じたものでした。


それからちょうど1カ月後に、知人のマンションに迷い込んできたという子猫がやってきて、そのまんま姉弟のような今のミューとイプの名コンビが誕生。気づけばもう11年もずっと一緒です。この二人が仲良く眠っている姿が、何より私を幸せな気持ちにさせてきました。どんなときも、どんなときも。


ミューとイプのアルバムの1枚目にも、1999.6.30.の日付。丸まって眠る子猫ミューの脇に大きさを記すべくタバコの箱を並べて撮ったスナップです。久しぶりにアルバムを眺めて頬をゆるゆるさせる私の隣りには、タバコ5カートンではきかない巨体の二人が並んで眠っていましたとさw


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