リブ・ラブ・サプリ〜FORTUNE

「映画が私の学びの時間」by id:Cocoa


映画評論家の淀川長治さんは、大切なことは何でも映画が教えてくれた、というようなことをおっしゃっていたそうですが、私もそうです。歴史も文学も、地史も文化も、そして英語やフランス語までも、映画から多くのことを勉強させてもらいました。
私は特に古い映画が大好きです。見る映画が決まったら、まずその映画が作られた時代を調べます。たとえばトーマス・マンの小説の映画化である「ヴェニスに死す」なら、1971年。イタリアとフランスの合作作品ですから、その当時のヨーロッパがどんな様子だったかを調べてみます。
また本作品は同年にイギリスの作曲家ベンジャミン・ブリテンがオペラを制作していますからそれも調べます。そして、なぜ時を同じくして映画とオペラの二つの世界からこの小説が注目されたのか、偶然なのか、それとも時代の必然だったのかなどのことに思いを馳せてみます。
当時の日本の世相も調べ、日本の人達がどんな社会環境でこの映画を迎えたのかも考えてみます。もちろんこの作品の前後に公開された映画を列挙して、その傾向も考えます。
そうした学びの後、全てを忘れて、真っ白な気持ちで作品を鑑賞します。見る時は、もうややこしいことは考えないんです。下調べは下調べ。鑑賞は鑑賞。それらが融合していくのは、見終わった後でいいんです。
さて、見終わりました。恐ろしく難解な映画です。監督のルキノ・ヴィスコンティはこの作品を通じて、一体何を表現したかったのでしょうか。うぅぅぅん、この監督の別の作品も見てみましょう。こうして果てしなく学びの場は続いていきます。
映画の中に人生もあります。ストーリーの中の人生、スタッフやキャストの人達の映画にかける人生、そしてその時代時代を生きてきた人達の人生。人はどんな時代にどんなことを考えてきたのか。そうしたことも映画から読み取れます。映画は時代を映す鏡です。
トーキーの登場からそろそろ一世紀。私達は映画でその百年を自由に行き来することが出来ます。そこからリアルに学び取っていく様々なことがらは、これから先の未来を作っていこうとする時の土台にもなっていくと思います。