「〈みどりのお裾分け〉のお付き合い」by id:MINT


小学生の時です。私は塀越しに、お隣のお庭のあじさいに見入っていました。雨に濡れて、それはきれいだったんです。傘を差して、ランドセルを背負ったまま、ずっとあじさいを見続けていました。お隣のおばさんが私に気付いて、声をかけてくれました。どうしたのと聞かれたので、あじさいがあんまりきれいだったからと答えると、持っていってお部屋に飾りなさいと一枝切って渡してくれました。私はうれしくてうれしくて、何度もお礼を言って家に帰りました。
次の土曜日、私はお隣にお礼をしようと思い、育てていた朝顔を一鉢持って行きました。するとその日はお休みでおじさんもいて、とても喜んでくださいました。
しばらくすると、今度はおじさんがうちに来て、あじさいを挿し芽にしたからと持ってきてくれました。あじさいは挿し芽で増やせるんです。こうしてわが家とお隣さんの緑のお裾分けが始まりました。花もお裾分け、ハーブもお裾分け、買ってきた種を分け合ったり、実った種を交換し合ったり、何でも緑はお裾分けです。それが今でも続いています。
最近、わが家とお隣さんで共同で山椒を植えました。わが家には雄株、お隣には雌株です。低い塀を隔ててはいますが、受粉できる近さに仲良く寄り添っています。わが家は雄株ですから雄花が花山椒として楽しめ、お隣は雌株ですから実が楽しめます。本格的なお裾分けはもう少し木が育ってからになると思いますが、将来がとても楽しみです。このすてきな関係をいつまでも続けていきたいと思っています。


»このいわしのツリーはコチラから