リブ・ラブ・サプリ〜SEASON

「育ててみよう、お腹にいい根菜ヤーコン」by id:Fuel


ヤーコン(yacon)は、アンデス原産のキク科の多年草です。アンデス一帯では昔からジャガイモなどと並ぶ栽培作物だったそうで、最近日本でも人気が出てきました。収穫時期は11月頃。本格的な霜が降る前が収穫時期ですから、日本では晩秋の味覚ということになりますね。
ヤーコンの特徴は、塊根の主成分がフラクオリゴ糖である点です。普通、芋にはデンプンの形で栄養が蓄えられますが、ヤーコンの場合は同じ糖質でも、お腹にうれしいフラクオリゴ糖なんですね。
主成分がオリゴ糖ですから、ヤーコンは生食が可能です。他の芋は成分がデンプンですから加熱しないと体内で消化されませんが、ヤーコンは生で大丈夫なんです。生で食べるとほのかな渋味がありますが、これはポリフェノールの味。味は甘く、食感は梨のようなシャキッとした感じです。根菜なのに生で食べられるなんて面白いですよね。
もっとも収穫したては全然甘くありませんから、生食するには収穫後1〜2ヶ月寝かせておく必要があります。この間にオリゴ糖の一部が分解されて、甘みを感じさせる低分子の糖に変化します。保管は霜にあてないように土に埋めたり、リンゴのようにもみ殻を入れた箱の中に入れておいたり、新聞紙などでくるんで保管するなどします。
もちろんヤーコンは調理にも用いられます。“ヤーコンレシピ”等で検索すると色々な調理方法が見つかります。生の食感を生かしてサラダ風に食べたり、フルーツ感覚でスイーツに仕立てたり、きんぴらにしたり、パンに混ぜ込んだり、ジャムにしたり。ありとあらゆる応用がみつかります。
さらにヤーコンの素晴らしい所は、葉まで利用できる所。若い葉は天ぷらなどにして食べることが出来ますし、葉を煎じると、一種のハーブティーになるんです。ヤーコンの葉にはフラボノイドやテルペン類など血圧や血糖値を正常化するのに有効な成分が含まれて、芋と同様、フラクオリゴ糖も豊富に含まれていますから、これを利用しない手はないわけです。ヤーコン茶の作り方はこちらのページを参考にしてください。
http://www.ami-yacon.jp/y_yacon3.html
ヤーコンは乾燥や病害にわりあい強く、少ない肥料でもよく育ちますので、育てやすい作物です。初めての人はポット苗が売っていますから、それを買ってくると失敗が少ないと思います。植え付けは春。夏以降に根の肥大化が始まります。日当たりがよく、水はけのよい柔らかい土で栽培してください。成長すると草丈は大人の背丈ほどになり、いかにもキク科という感じの黄色い花を咲かせます。
なお、ヤーコンは、芋を植えれば芽を出しそうな物ですが、ヤーコンの芋には発芽する機能はなく、それだけ植えても芽は出ません。塊根を生じる地下茎の芽(鱗片葉の腋芽)とセットになって、はじめて発芽と栄養供給の働きが整うんです。よく分からない人は、翌年も市販のポット苗を買ってくるのが確実です。
ちなみに、今日本で育てられているヤーコンは、85年にニュージーランドから輸入された1万株の子孫と言われていますが、その苗の元はペルーから無断で持ち出されたものだったということで、それについてペルー政府は抗議の意志を表明しているそうです。
今日本で出回っているヤーコンにペルー政府の権利が及ぶとは考えられませんが、それでもたとえば日本特産の和牛の遺伝子が海外に流出して勝手に育てられていたりしたら、日本人として嫌ですよね。またそういう不正は貿易上の損失となる恐れもあり、国の農業に打撃を与えます。ペルーにとってのヤーコン流出もそれと同じことですから、ヤーコンを育てる時はぜひそのふるさとであるペルーに思いを馳せて、何らかの国際協力に参加していくような心構えが求められるかもしれません。
“ペルー フェアトレード”で検索すると、ペルー産の様々なフェアトレード商品が見つかります。また日本に住むペルー人も多いですから、在日ペルー人学校などの運営に協力していくという方法もあるでしょう。
政府のODAなどは何かと問題が多く、いくら援助しても現地の自然や経済を破壊したり、一部の特権階級を肥やすだけという批判がありますが、そうでない民間ならではの国際貢献の仕方はたくさんあると思いますので、ヤーコンを通じて私たちならではの国際交流が発展していけばと思います。