「いとこたちと沸かしたお風呂の薪の匂い」

「いとこたちと沸かしたお風呂の薪の匂い」by ハザマ

小学校の頃によく泊まりに行っていた親戚の家は、まだ五右衛門風呂でした。私や弟には珍しくて、スノコをうまく沈めながらアチチと用心して入る鉄のお風呂も楽しかったのですが、外から薪でお湯を沸かすのも、よく心得たいとこたちと一緒に子供の役目でした。一番に叔父が沸いたお風呂に入り、次に叔母が入り、お湯が足される時に「沸かしてー!」と聞こえてくると薪を足して火を強くします。暗い外にしゃがみ込んで、かまどの中の火だけが真っ赤に燃えて、パチパチはぜる薪の音と一緒に、あたり一面にけむたい薪の匂い。そこにお湯の湯気と匂いも混じって、独特の熱を持った匂いがたちこめました。あの火とお湯の匂い、それがいとこの家の匂いでした。
それから今度は焚き火番は叔父に交代し、私たちいとこ二人の女子と三人の男子に分かれて五右衛門風呂へ。慣れないで鉄の縁に当たってアチアチいう私は笑われながら、キャッキャ言いながら楽しいお風呂でした。
その後水まわりをリフォームされて五右衛門風呂はもうありませんが、いとこたちと過ごした時間とともに、薪の匂いは一番記憶に残っている家の香りです。

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