「読めない名前を無理矢理読むと…」by id:Fuel


ある式典で、列席者の紹介を任された父。読み上げる原稿を渡され目を通すと、読みにくい名前ばかりが並んでいたと言います。たとえば「小比類巻」さん。これは歌手に「こひるいまき」さんという人がいますが、別に「こびるまき」という読み方もあるので、それを知っていた父はあわててどちらかを確認しに走ったと言っていました。
「漁」さんも「りょう」さんではなく「すなどり」さんとお読みするとのことで、事前確認して助かったと言っていました。それでもあぶなく「さかなとり」さんと読んでしまうところだったとのことで、危ない危ない。
しかし「遊馬」さんは確認漏れというか、文字が簡単な物の組み合わせだったので、読めると勘違いしていたんでしょうね。全く誰にも確認せず、原稿にふりがなも振っていなかったそうです。
マイクの前に立った父は、すらすらとお名前を読み上げていきましたが、「遊馬」さんで止まってしまったそうです。読めません。血の気が引いて目の前が真っ暗になったそうです。
「ゆ、ゆう…」
遠くの方で同僚の人から違う違うの合図。
「ゆ、ゆう…ゆう」
違う違う。
「あ、あの」
言葉を失ってしまった父。これ以上恥をかくまいとマイクのスイッチを切ったはいいのですが、あまりに動転していたのか、原稿を落としてしまったそうです。同僚の人が駆け寄って原稿を拾い、姿勢を低くして目立たないように父に手渡し。父は一言、
「あ、すま…」
すかさず同僚の人がピンポンのサイン。そこで父はハッと記憶がつながり、そうだ、この字で「あすま」さんと読む人がいたと思い当たり、無事その場をしのいだそうです。コントのような本当の話。
いやはや、なんとも手に汗握るお話でした。以来父はこんな高価な本まで買ってきて、人様に失礼のない司会が出来るようになるんだと張り切っています。しかし再び晴れの席でマイクの前に立つ機会は、カラオケを除いてまだ無いみたいです(笑)。


難読稀姓辞典

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