「早く大人になりたくて仕方がなかった勘違い息子から、大好きなお父さんお母さんへ」by id:TomCat


お父さん、お母さん、こんなにも私を愛してくれて、ありがとう!!
私は、子供扱いされるのが嫌いな子供でした。一刻も早く大人になりたくて仕方がありませんでした。自分がいかに一人前であるか。それを認めてもらいたくて仕方がなかったんです。


早く大人になりたいという願いは、早く親から離れなければいけないという気持ちにつながっていきました。しかし、私は親離れの仕方を知りませんでした。親の愛を遮り、親を嫌うような態度を取ることが親離れなんだと、そう勘違いしていたんです。


その予兆は、小学生の時に既にありましたね。お父さん、私は今でも覚えています。私の肩に伸ばされた手を振り払ってしまった時の、お父さんの戸惑ったような顔を。


お母さん、私は今も忘れることが出来ません。抱きしめられることを拒絶した時の、お母さんの寂しそうな顔を。そうか、男の子だもんね。そうつぶやいた唇が震えていたのを。


愛を拒絶したかったんじゃないんです。ただ親離れしたかっただけなんです。でも、行動が心を変えてしまうって、ありますよね。そうやって両親の愛を遮りながら成長していくうちに、いつの間にか典型的な、親子の断絶を迎えていってしまいました。そして私は、いわゆる不良になりました。


私は、大きな間違いを犯していました。今なら、何が間違っていたのかを、ハッキリと認識することが出来ます。本当の大人とは、注がれる愛に、しっかりと報いていくことが出来る人間のことを言うんです。私にはそれが見えませんでした。


お父さん、お母さん。あんなにも私を愛してくれて、本当にありがとう。今の私があるのは、全てお父さんお母さんの愛のおかげです。私は愛され方がへたくそな子供でした。でも、慈雨のように注がれた愛が、今も私をこんなにも満たし、潤してくれています。それはあなた達の愛が、あまりに深く、大きかったからです。


お父さん、お母さん。私はあなた達の大きな愛のお陰で、踏み外した道から立ち直ることが出来ました。そこから後は、できるだけ素直に愛を受け止め、それに報いていこうと努力したつもりでした。でも、上手くいきませんでしたよね。「素直」ってやつは一度捨ててしまうと、再度手に入れることが出来ても、その使い方がよく分からなくなってしまうみたいなんです。


そうこうしている間に、あなた達は天に昇ってしまいましたね。愛を返すことはおろか、愛してくれてありがとうとも言えないまま、私は「本当の親離れ」を迎えてしまうことになりました。


これから私は一生をかけて、愛ある家族の築くイエを考え、一人でも多くの人達と語らい、その輪を広げていきたいと思っています。それがあなた達の愛に報いるための、最後に残されたミチだと思うからです。


お父さん、お母さん。あなた達が築いてきたわが家こそ、愛ある家族の築く理想のイエの姿だったと思います。それを受け継ぎ広げていくことが、私の報恩です。最後にもう一度。お父さん、お母さん、私をあんなにも愛してくれて、本当に本当にありがとう!!


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