「障子の部屋に、とろとろ炭火がある風景」by id:TomCat


前にもちょっと書きましたが、わが家には障子の部屋があります。もちろん床は畳。そこに長火鉢を置いています。冬の休日は、長火鉢に炭が入ります。炭というのは一度着火したら一日中でもそのまま燃焼させ続ける使い方が基本です。とろとろ、とろとろ。ゆっくり長く燃え続ける。それが炭火の良さですね。だから、本当に炭火の良さが実感できるのは、一日中どこにも出かけない休日です。


火鉢の上には鉄瓶。土瓶でもいいですが、私が好きなのは鉄瓶です。紅茶などは金気を嫌いますが、日本のお茶には鉄瓶がよく似合います。だって、茶道の湯を沸かす茶釜も鉄ですからね。日本人には鉄瓶のお湯のうまさ、まろやかさを好む遺伝子があるんじゃないかと思うほど。鉄瓶で沸かした湯で淹れるお茶は格別です。


お茶の次は、おちゃけ、です(笑)。鉄瓶のお湯にお銚子を突っ込んでもいいですが、長火鉢にはお酒のお燗を付ける専用の道具が付いていますからそれを使います。私はアルコールはほとんどザルなので、普段は焼酎も割らずにコップでグイグイですが、この時ばかりは風情を楽しみたいですから、小さなお猪口でおっとっと。これで障子を開けたら雪景色、なんていうと最高ですが、閉め切った障子もまた冬の風情です。


いいお酒には、肴なんて要りません。でも、ちょっと都々逸なんか、うなっちゃいましょうかね。自作のカンカラ三味線を手元に引き寄せて、♪燃える火鉢に 思いをくべて あなた煙に 巻いてやる〜♪なんてね(新作即興都々逸 by私w)。


あ、お腹が空いてきました。こんな時はサラッとお茶漬けに限ります。おちゃけ、飲んでますしねw 干物でも焼きましょう。もちろん火鉢で。お茶はもちろん火鉢の鉄瓶。海苔は、長火鉢ですから引き出しがあり、その中に入っています。あとは梅干しでも持ってくれば素敵なお茶漬け。冬は「こたつむり」なんていってコタツから一歩も出ないで過ごす人がいますが、長火鉢も結構それだけで過ごせてしまう優れ物なんですよ。あー、干物で茶漬け、うめ〜。


着る物はわりと厚着です。和服を楽しむ時も、実は下には結構着込んでいます。炭火は輻射熱でホカホカ体が温まりますが、換気はしっかりしないと一酸化炭素中毒でえらいことになりますから、部屋の空気はあまり温まらないんですね。でも、そういう低気密がいいじゃありませんか。部屋の中で炭火で干物を焙っても、その臭いが気にならない暮らし方。これは自由ですよ〜。また部屋から出た時の温度差で脳血管障害が起きるなんていうリスクも減りますから、自由で安全でヘルシーな昔ながらの暮らしに、ちょっと近付きます。


おや、日が暮れてきました。冬は早いですね〜。行灯・・・・は無いので、かわりにフロアライトを灯しましょう。天井の主照明は要りません。灯りを傍らに寄せると、とても暖かな感じ。部屋全体は暗いですけどね。闇ではありませんから、陰に籠もった冷たさはありません。むしろ落ち着く、心がほっこりする、そんな陽の気を感じます。


障子をちょっと開けて、街灯りを眺めます。夕暮れの街というのも温かいですね。家々の灯りの一つ一つに人々の暮らしがある。そうした温もりに触れる冬のひとときというのもいいものです。


にゃ〜ん、かりかりかり。おっと、猫達が私を呼んでいます。ちょっと火鉢の部屋でくつろぎすぎてしまったようです。わが家では安全のため、猫は炭火を使っている部屋には立入禁止。何事も念のため、猫の安全第一ですからね。


最近のうちの猫達は、歳を重ねて落ち着いてきたので、昼間はずっと寝てばかり。でもさすがは夜行性。日が暮れると、こんなふうに猫の時間が始まるんですね。ごめんごめん、今行くよ〜。こうして猫を膝に抱えて過ごす「わが家のお気に入りの冬の光景」の第二ラウンドが始まります。


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