夏至の日を『麦の収穫祭』に」by id:MINT


11月には新嘗祭があります。みんなで新嘗祭について語り合う中で、今は宮中や一部の神社にしか残っていない行事だけど、その昔は庶民の行事でもあったことがわかってきました。そして現代の私たちのイエでも収穫感謝の「イエ新嘗祭」をやってみようという輪が広がりました。


この、イエで祝う収穫感謝祭を上半期にもやっちゃおう!!というのが、夏至の日を「麦の収穫祭」にする提案です。


麦秋という言葉があります。麦畑が黄金色に染まる初夏を、お米の実る本物の秋にたとえたものです。日本の七十二候では「小満」の末候を「麦秋至」としていますが、だいたいそのころまでには、大麦も小麦も収穫期を迎えます。


こうして麦の実りを迎えた後にやってくるのが夏至。日本の場合、冬至にはカボチャを食べて柚子湯に入ったりするのに、夏至にはほとんどお特別な行事がないなぁと思いませんか?でも、昔はとれたての新しい麦を使った餅を神前に供えるとか、あるいは半夏生になりますが、うどんの名産地である讃岐では、新麦でうどんを打って田植えや麦刈りの苦労をねぎらう習慣もあったんです。7月2日の「うどんの日」は、こうした習慣が由来です。


ね。夏至に麦の収穫を祝うって、ちょっと日本の伝統にも合っていると思いませんか?もちろん収穫の祝い方は現代の暮らしにマッチしたものでやっていきましょう。麦本来の味を実感できる本当においしいものを食べてニッコリ笑顔になる。そんな日にできればいいと思います。


さて、具体的にはどんなことをして祝いましょうか。まずパン作り大好きな私としては、本当の麦のおいしさが感じられるパンを焼いてみんなで食べることを提案したいと思います。


皆さんは本当に麦のおいしさを感じられるパンって、食べたことがありますか?パンの味は知っていても、そこから麦の味をたどったことはない。そういう人がきっと多いと思うんです。そこで、夏至の日には、ご自分でパンを焼く人は、麦の味を意識できるパンに挑戦。ご自分で焼かない人は、麦のおいしさにこだわったパンを焼いてくれるパン屋さん探しに挑戦してみてほしいと思うんです。そして、これが麦の風味なんだ!って実感してください。


うどんを打つのもすてきです。小麦粉と塩だけで作るのがうどんですから、日本人にはこの方が本当の麦の味が実感しやすいかもしれません。本当においしいうどんは、つゆなしでそのまま噛みしめると、麦ってこんなに香りが豊かでおいしいものだったんだ!ってびっくりしますね。ご自分で打つのもよし。本当によいうどんを知っている人は、この日のために特別に取り寄せて、それを味わう日にしてもいいですね。


お菓子作りもいいですねー。せっかくですから、この日のために特別に用意した小麦粉、たとえばオーガニックにこだわった小麦粉とか、産地にこだわった小麦粉とか、全粒粉とか、いつもと違うスペシャルな小麦粉で作りましょう。小麦粉は、いったい何種類のお菓子に変身してくれるでしょう。さぁて、何を作りましょうか。胸が躍りますね。


そのほか、お好み焼きやたこ焼きなどの、いわゆる「粉もん」も。あ!粉もんといえばお祭りですが、焼きそば、ベビーカステラ、スパボー、揚げパン、クレープ、シャーピン、etc.お祭りの食べ物って小麦生まれのものがいっぱいですね。そこで思いつくのが、友だちみんなで集まって模擬店作って実施する「お祭りごっこ」。これは楽しそうです!


大麦なら、麦とろとか、ご馳走ですよね。麦茶の麦も大麦です。麦茶は昔からあって、平安貴族も飲んでいたと言われていますが、麦茶が夏の飲み物とされたのは、やはりとれたての新麦を焙煎していれるのが最もおいしいから。ここに着目して夏の麦茶をはやらせたのは、江戸の下町の人たちだったといわれています。夕暮れになると往来に腰掛けを並べた麦湯屋さんがとても繁盛したそうです。これを真似て、夏至の夕暮れを麦茶で楽しむだけでも価値あるイエ・イベントですね。


ちなみに、麦にまつわる日としては、6月1日が、麦の収穫と、麦茶の季節のはじまりということで「麦茶の日」。
http://www.nnh.to/06/01.html
6月16日が6(ムギ)16(トロ)の語呂合わせで「麦とろの日」。
http://mugitoro.jp/know/index.html
6月24日は、故・美空ひばりさんのご命日なので、小鳥のヒバリのすみかにもなる麦畑をイメージして「麦の日」と呼ばれています。
http://www.nnh.to/06/24.html
もちろん夏至はだいたい6月21〜22日。それぞれ理由はちがうのに、みな6月に集まっているのも何かの縁でしょうか。


日本はお米が主食の国ですが、麦も弥生時代には日本に渡ってきていて、五穀の一つとして大切にされてきた作物でした。ですから、夏至の日をこの収穫感謝祭と位置づけて、下半期のイエ新嘗祭と合わせて、イエ・イベントも二毛作!!きっと楽しいと思います。


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