「意見が分かれたら、迷ったら、くじ引き」by id:Fuel


「今夜は久し振りに出前でも取らない?」
「いいねー、俺○○亭の特製カツ重」
「父さんは○○庵の天丼だな」
「あら、お母さんはちらし寿司とか食べたかったのよ」
「激しく意見が分かれたなー」
「じゃいつもので決めるか」
「くじは私が作るわよ」


こうしてくじ引きが実施されます。くじの種類はその時々。あみだくじになることもありますし、手にコヨリを握って印のある物を引いた人が勝ち、などというくじになることもあります。父は時々格好を付けて、コインの表と裏で決めようなんてやりたがりますが、たいていコインをあらぬ方向に飛ばして、くじを台無しにしてしまいます。


最近の父母は時々映画を見に出かけたりもします。近ごろはいいシネコンがありますからね。そこで見る映画もくじびきです。これは意見が割れるからというより、同時公開されているどれもが見たい作品で、くじでもしなければ決めきれない、という理由からのようです。


このくじは、たいてい箱の中の紙切れ一枚を引く、というやり方で行われます。紙に映画のタイトルが書かれているわけです。それを父母は私に引かせます。公正なくじなら誰が引いても確率は変わらないはずですが、第三者が引いた方が公正に思えるらしいのです。


結果、見終わって感動すると、私のお陰でいい映画に巡り会えたということになり、パンフなどのおみやげがもらえるので、まぁ悪い使われ方ではありません。


先日は母の誕生日に何をプレゼントしようかと迷っていた父のためにくじを作りました。考えている候補を全て書き出してもらい、それをあみだくじにしたんです。かなり線を多くした、時間のかかるくじにしました。そして、一つを選んでもらい、ゆっくりと線をたどってもらいました。でも、半分くらいまで進んだ所でストップをかけました。
「ちょっと止まって。今、どれかに当たるといいなって、心の中で念じた物はなかった?」
「あ…、いや、えーと、…ちょっと待て」


父はうーむと考え込み、そして「確かにこれに当たるといいなと思いながら線をたどっていた」と、候補の一つを指し示しました。
「じゃ、それがお父さんの選んだ最高のプレゼントだよ、それに決めな」。
こんなふうに、いつも全てくじ任せになるとは限りません。


こうしたくじ引きで決める習慣はずっと以前からありました。ですから、私は高校受験の志望校もくじで決めようとしたりしました。当然父に「ばっかもーん」とはたかれましたが、「じゃお父さんはどこの高校を勧めるんだよ」と聞くと「うーむ、お父さんも分からん」。こんなやりとりが、親子の対話の切っ掛けになって、納得いく志望校選びにつながっていったことは確かでした。


最近はテレビを見る時間が少ないのでめったにしなくなりましたが、以前はよくテレビのチャンネルもくじで決めていました。


くじ引きを楽しくするコツは、どんな結果が出てもそれを素直に受け入れること。つまりくじで決めるという決断が、もう既に結果に対する心構えを作っているのです。このように、一見運任せのちゃらんぽらんなやり方ですが、この決め事には、わが家なりの哲学もあったりするのです。おそらく(笑)。


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