ウクレレでハワイアン」by id:C2H5OH


夏で印象深いのはこの思い出です。小五の時だったと思いますが、父がどこかからウクレレを譲り受けてきました。何にでも興味を持つ年頃ですから、初めて見るウクレレの実物に私が目を輝かせたのは言うまでもありません。もちろん母もそうでした。これは夏にぴったりだねとみんなで大喜び。更に父のおみやげはもう一つ。葉っぱ付きのパイナップル。ウクレレを見ていたら食べたくなったとのことで、その夜は冷たく冷やしたパイナップルを楽しみました。


翌日、母が楽器店に行って、替えの弦と教則本を買ってきました。その本を見ながら皆で練習です。まずはチューニングから。これがなかなか難しく、母が一緒に買ってきた調子笛に合わせますが、笛とは合っているように聞こえても、ポロンとならしてみると弦同士では合っていなかったりします。やはり隣り合った弦同士を鳴らして合わせていかないと上手くいきません。


次はコードを覚えます。CとかFとかG7とか。とりあえずこの3つをおぼえると簡単な曲が弾けます。父がこの3つのコードで牧伸二の「あーやんなっちゃった」が弾けることを発見。しばらく父はそればかりやっていました。私と母は他人の振り(笑)。


父がウクレレ漫談に打ち込んで?いるうちに、母はハワイアンの伴奏を数曲マスター。楽しそうに歌いはじめました。私は歌にはちょっとテレがあるのでもっぱら弾くのに集中。子供ですからそれなりに、程度でしたが、それでも簡単な曲なら何とか弾けるようになりました。


こうなってくると面白くて仕方がなくなってきます。夕方、リビングでポロポロ掻き鳴らしながら遊んでいると、夕食の支度をしている母がそれに合わせて歌い出したりすることもありました。これは楽しかったです。


友達が遊びに来た時もウクレレが大人気。みんなが弾いてみたがりました。私は自分自身がまだまだこれからなのに友達に弾き方を教えたりして、その夏はウクレレ師匠と呼ばれました(笑)。


ちなみに私のこの夏の自由研究は「ウクレレのひきかた」。ウクレレの歴史を調べたり、弾き方のコツを解説したりしてリポートにまとめました。


父も「あーやんなっちゃった」以外のレパートリーも増やして、よく窓辺で夕涼みをしながら弾いていました。特に「カイマナヒラ」が好きだったようで、よく歌っていましたが、これがなかなかかっこよく、ロカビリーのしゃくり上げるような歌い方を随所に挟んで、なかなか聞かせます。いつのまにかアロハシャツまで買ってきて、気分はすっかりワイキキビーチ。歌を誉めると喜んで「これでアイスでも買ってこい」と小遣いをくれます。私は走ってアイスを買いに行き、また走って戻って、父のウクレレを聞きながらアイスを食べました。うーん、いい夏でした。


中学高校と年齢が進むにつれて、私は段々弾く機会が少なくなっていきましたが、父や母は今もよく弾いています。その当時のウクレレに加えて今はもう一本有りますから、二人で一緒に弾きながら歌っています。特に父の休みのお盆はウクレレ集中週間。たまに私もパーカッションやベースで加わって、ちょっと楽しいイエ・サマーライブになることもあります。


»このテーマの投稿コメント一覧はこちら。