「お気に入りの階段」by id:sumike


小さい頃に住んでいたイエで、とても気に入っていた場所があります。
それは、日に何度となく上り下りしていた階段でした。


玄関からまっすぐ続く廊下を通り、突き当たりの右側にある扉を開けると、そこから折り返すようにまっすぐ階段の延びる造りになっていました。


階段の途中には一段板の幅が広くなった場所があって、最上段も幅の広い段になっていました。


最上段からは二方向に行けるようになっていて、一段上がると三畳ほどのサンルームになっていて、右手に行くと台所。
サンルームと台所の境、つまり最上段の右端には大黒柱があり、その柱を挟んだ斜め前が小さな居間になっていました。


階段の最上段の壁には腰の高さの大きな窓が、またサンルームにも一面の、すりガラスが入っており日中は南向きのためもあって光の入りがよく、階段や台所、居間まで明るく照らしてくれました。


そして階段の上の窓を開け、一階や反対側の窓も開けると家中の空気が入れ替わるように思えるぐらい、よく風が通るのです。
とにかく風通しのいい家で、たとえ夏の日差しが強くても涼しさの方が勝る感じでした。


この窓からの風はとても心地よく、私は硬い木の階段の最上段に座り、サンルームの床をテーブル代わりに、本を読んだり宿題をしたりしていました。


当時の私の定位置は、この階段の最上段でした^^


その頃、母が階下で仕事をしていたので、一階に行くと邪魔になるし、でも母の様子を知りたいし、おまけに二階に上がってくる際にはこの階段が一番に母に会える場所!ってことで、この階段で過ごしたがったのだと思います。


友達が遊びにくると、階段ではお決まりのジャンケン!グリコ!遊びもしていましたね。
遊び方は皆様もよくご存知だと思いますが、ジャンケンをして勝った人が、勝った分だけ進めるというもの。
グーはグリコ以外にもグリンピース!にすることもありました。
一番上でピッタリ終わるまで何往復もすることもw


夏の夜には、階段の途中に座り、窓の外に綺麗な星空が見えるよと、母や弟と一緒に階段の途中に座って窓から空を見上げて過ごしたりもしました。


窓からは裏庭がよく見えて、天気のいい日には、そこから庭を眺めてサンルームではなく、なぜか階段で日向ぼっこをしたことも。


階段の端にある大黒柱には、階段の上で私と弟と丈比べをして印をつけていましたが、年に一度どころではなく、月に数回は計っていましたので、柱には無数の傷がついていました。


階段は上と下の階をつなぐ大事な通路ですが、この階段には、私にとって、ちょっとした不思議な力がありました。


例えば父のお小言にフン!と思った時も、この階段を降りると「ま、いっか」と思えるようになったり。
また、友達や弟とけんかをした時も、この階段を上ると「怒りすぎたかなあ」と反省したり。


そう、階段は小さい頃の私の気持ちを落ち着かせてくれたり、慰めてくれる効果も併せ持っていたのです。
そのため、気分を変えたい時には、この階段を何度も昇り降りした記憶がありますw


今のイエには階段がありませんが、子ども達も階段が大好き。
いつか安全に遊べて家族の交流もできる階段スペースのあるイエをつくってあげたいなぁと思っています。


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