「シダ・コケを楽しむ」by id:offkey


日本庭園や神社仏閣の庭に使われるコケやシダは日本古来園芸の面で親しまれてきました。江戸時代にはイワヒバやマツバランの栽培が流行し、しのぶ玉の下に風鈴をつけて楽しむ風習も江戸時代に発達します。花をつけないこれらの隠花植物は静かな美しさということでわび、さびの心に通ずるものとされてきたのです。これらの緑の植物はその性質から新緑が萌え出ずる5月、しっとり梅雨の6月に一番美しい姿を見せてくれます。そんなコケやシダをこの初夏に楽しんでみたいです。


日本が昔から園芸に使ってきたものですから、当然自然の中にたくさんの種類を見ることができます。林の奥深く、直射日光があまりささないような湿気のある場所には下草にシダが生えておりますし、岩場にはコケが生えてることも多いでしょう。色がほとんど緑なだけに、種類の見分け方はもっぱら葉の形や生え方に頼ることになりますが、しだ・こけの図鑑のようなものがあればそれを手がかりに観察するのもよいと思います。
私が愛用しているのは、山と渓谷社から出ている「しだ・こけ」という本。


しだ・こけ (新装版山溪フィールドブックス)
* 作者: 岩月 善之助 伊沢 正名
* 出版社/メーカー: 山と溪谷社
* メディア: 単行本


日本全国のシダやコケの美しい写真が豊富に載っています。フィールドへ行かなくても、本を眺めているだけでその静寂感あふれる涼しげな美しさを楽しめます。


フィールドばかりではありません。家でもシダの鉢植えを楽しむことができます。
先ほど述べたイワヒバなどは盆栽などで御馴染みですが、日本古来の園芸に限らず、近来は西洋種のシダが観葉植物として出回っていますから、手軽に入手することができます。
主な種類として、アジアンタム、ツデーなどのタマシダ類、アビスといわれるタニワタリ類、プテリス、などが一般的です。これらの観葉植物は多湿で明るい日陰を好むので、梅雨時期には一番生き生きとしてきます。葉っぱが繊細で、美しい緑をしているので、涼感を演出するにはぴったり。乾燥に注意すれば、それほど手間はかからない植物ではあります。


私はシダやコケが好きなので、何年か前に北大の植物園温室へ出かけてシダの部屋を見学してきたことがあります。
そこは巨大な種類も集められていましたので、静寂というよりは恐竜でも出てきそうなワイルド感に圧倒されました。



このワイルドさもまた隠花植物の魅力でもあります。


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