ありさんのおつかい観察」by id:CandyPot


「あんまりいそいで こっつんこ ありさんとありさんと こっつんこ」(『おつかいありさん』関根栄一/作詞 團伊玖磨/作曲)。


アリさんは甘い物が大好きです。お砂糖などがこぼれていると、すぐにアリさんが群がってきます。食いしん坊ですねー。いいえ、実はこれがアリさんのおつかいなのです。アリはお腹の中に胃とは別の「そのう」という袋を持っていて、そこに蜜などを貯めて、巣に持ち帰ることができるんです。むしゃむしゃ、ぺろぺろ、あぁおいしい、じゃなくて、みんなのために巣に持って帰るんだ、よいしょよいしょ、と頑張ってるんです。このアリさんのおつかいを観察してみましょう。


アリさんのおつかいは行列です。うわぁ、みんなきれいに列になっていますね。これはそれぞれのアリたちが分泌する道標フェロモンによって、目には見えない「匂いの道」が作られているからだと言われています。


アリさんは小さいですからちょっと見えにくいかもしれませんが、よーく見ていると、行きと帰りのアリさんが本当に「こっつんこ」している様子も見られます。これもアリさんの情報交換。これによって何の情報が伝えられているのかは、きっとまだ完全には解明されていないと思います。でも、触覚同士を触れ合わせることで巣の集団ごとに異なる特別な物質を確認し合って、「仲間だね」「うん、仲良し」みたいな安全確認をしていることは間違いなさそうです。


甘い物に群がるアリさんは、荷物をお腹の中の「そのう」に貯めて巣に帰りますから手ぶらですが、虫の死骸や植物の種などもエサになりますから、そういう物を持ち帰る場合には、何匹もで協力し合いながら運ぶこともあります。よーく見てください。小さな体で、大変な力持ちですね。もしアリさんを人間の体と同じ大きさにしたら、300kgくらいの重さの物を軽々持ち上げてしまうくらいのパワーだと言われています。


アリさんのおつかい行列を見ていると、こんな小さな生き物なのにすごいなーと感動してしまいます。子供は背が小さいですから、地面の小さな生き物にすぐ気が付きます。そして、興味深そうに見つめます。これが科学への目覚めのはじまり。そして命を尊ぶ心のはじまりなんじゃないかと思います。


大人は背が伸びた分、地上の小さな生き物と疎遠になってしまうのでしょうか。こんなすてきな生き物を相手にキャーなんて悲鳴を上げてしまう人もいますが、大人がそんなふうだと、せっかくの子供の大切な気付きの芽を摘んでしまうことにもなりかねません。どうかアリさんのおつかい行列を見つけたら、子供にもどって、「かわいいなぁ、そしてふしぎだなぁ」という心で見つめてみてください。子供と一緒に観察して、あとでそれを絵にかいたりしてみるのもいいですね。


もちろん観察のテーマソングは「あんまりいそいで こっつんこ」の「おつかいありさん」です。この歌は本当にアリさんの様子をよく表しています。最後にこの「こっつんこ」、アリの触角によるケミカルコミュニケーション研究の第一人者、山岡亮平先生の本をご紹介しておきます。


アリはなぜ一列に歩くか (ドルフィン・ブックス)

アリはなぜ一列に歩くか (ドルフィン・ブックス)


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