「新たな人生の門出に樹木の苗を贈る」by id:Catnip


入学・卒業を祝ってパーソナルな記念樹。これはきちんと育ててさえもらえれば、きっといい記念になると思います。庭があるイエなら大きくなる木を選んで、将来それを見上げてもらう夢を乗せて贈ってもいいですし、庭がないアパートやマンションなら、大きさより実りで育ちを実感してもらえる果樹などがいいかもしれません。


どのような木を贈るにしても、まず植えることが可能な場所、あるいは鉢が置ける場所の広さや日照などの条件をよく確かめ、それに適した木を選ぶことが欠かせませんね。ですから、保護者の方にまでナイショのサプライズで喜ばせたいといったことはやりにくいですが、逆に贈られるイエの皆さんとよく相談をして、将来なぜこの木を選んだのかという理由まで奥深く語れるような、より心のこもった贈り方が出来ると思います。


庭に植える木を贈る場合は、植える時期の考慮も大切です。卒業・入学に近い季節で考えると、一般に落葉樹は春がまだ来ない休眠期のうち、常緑樹は少し春めいてくるお彼岸過ぎから新芽が吹く前が植え替えに適していると言われていますから、苗を植える季節もそのあたりがよさそうです。ちょっと実際の卒業式・入学式より早くなってしまいますが、卒業記念なら卒業が確実になった時点で贈っていいですし、入学記念の場合も、小学校ならランドセル選びとほぼ同時期にお祝いできますね。


もっともまだ小さな段階の常緑樹は、水をやると凍ってしまうとか、逆に地面の水がお湯になってしまうような極端な時期を避ければ、けっこう幅広い時期に対応してくれる種類が多いようです。植樹祭とか、何々の記念植樹といった感じで行事に会わせて植えられる木には、そうしたものが選ばれることが多いと思います。


さらに柑橘類は一般に春から梅雨時くらいまでが適期と言われるものが多いですから、卒業・入学のスケジュールに合わせやすいかもしれません。いずれにしても、贈る木が決まった時点で、植えるに最適な時期をよく検討してください。


植え付け方法にはいくつかの手法がありますが、一般に「水極め」という、水を使って根の間にしっかりと土を入れていく方法で行います。ただし松のような根の共生菌が大切な木は、水で土を流し込んでいくとこの菌が流れてしまいますから、丁寧に棒で突きながら根と根の間にまで土を入れていく「突き極め(土極め)」で行っていきます。


植える穴は根鉢の倍くらい直径に大きく余裕を持って掘り、木の種類に適した肥料を入れてから少し埋め戻しておきます。こうして肥料が直接根に触れないようにするわけですね。穴の準備が出来たら、ためしに苗を置いてみます。一般に深く植えすぎると良くないことが多いですから、深すぎれば適宜埋め戻すなどして、根鉢の高さを地面と一緒かやや高いくらいの位置に調節していきましょう。木の種類によっては、かなり浅く植えていった方がいいものもあります。


根鉢の高さが決まったら、木の垂直を保持しながら、水極めの場合は大量の水とともに土を流し込み、水が全体に廻るようにしながら棒で土を突きつつ埋め戻していきます。根と土の間に隙間が出来ると根の生育が妨げられますので、これは丁寧に行いましょう。水がある時は土が充満しているように見えても、水が引くとスカスカのこともありますから、急がずじっくり行います。


さらに埋め戻しを続けて平らになったら、幹を中心とした根鉢径と同じ直径の円を描き、それに沿って土手を作ります。この土手は「水鉢」と呼ばれる状態の縁となりますから、そのつもりでしっかりと水漏れしないように作っていきましょう。そしてたっぷりの水を注ぎます。


「水鉢」の水が全て染み込んだら、木の大きさにもよりますが、必要に応じてよくある三本の支柱で幹を固定するような支柱を立ててください。まだ根が物理的に安定していませんから、こうしてぐらつきを防止して、根が傷むのを防ぐわけですね。苗といえども果樹などに多い子供の背の高さくらいのものになると、ちょっとした風に揺られただけでも、根にはかなりの力が掛かります。


と、植え付けの概略はこんな感じですが、自信がなければプロにお願いして植えてもらってもいいですね。Do it yourselfの精神も尊いですが、プロに作業してもらうほど大切にして贈るんだという気持ちを表すのもいいことだと思います。


大切に育ててもらえば一生を共にしていける記念樹。地域を緑化し、木の種類にもよりますが、小鳥をはじめ様々な生き物達にも安らぎの場や命の糧を与えていくその存在は、社会に役立つ人になってほしいという願いを、きっと伝えてくれると思います。


»このいわしのツリーはコチラから