「新年二日の新行事、DIY好きの事始め企画案」by id:Oregano


書道に書き初めがあるように、DIY好きの「事始め」もあったら楽しいと思いませんか?なにかそういう伝統行事はないものかと探してみたら、ありました。それは大工さんの「手斧始(ちょうなはじめ)」と呼ばれる儀式です。地鎮祭の後の工事始めの儀式も手斧始と呼ばれるようですが、書き初めなどと同じく、正月二日の年始行事としても行われています。


関東では鎌倉の鶴岡八幡宮の手斧始式が有名なようです。初詣の都合からか毎年1月4日に執り行われているようですが、八幡宮営繕の事始めとして、また鎌倉市で行われる工事全体の事始めとして、市内の建設関係者にも欠かせない行事となっているようです。


私たちも、ハウスメンテナンスの事始めとして、またDIY好きの道具の使いぞめとして、ぜひこれに倣ってみませんか。といっても神社のような祭祀形式は無理ですので、ここは書き初めをお手本に行事内容を考えてみます。


計画は次のような感じです。まず先のいわしで書き初めには若水を使って墨を擦るとありましたので、私たちのDIY事始めも、これを汲むことから始めましょう。


ですから初硯イベントは、若水を汲むところから始めましょう。元旦早朝に最初に汲む水のことで、昔は井戸水でしたが、今はほとんどの家が水道ですから、元旦の朝最初に蛇口をひねって出てきた水ということになりますね。これではちょっとありがた味に欠けるので、わが家では竹のひしゃくを用意して蛇口から水を受け、それを水瓶に移していくようにしています。神棚がある家はそれを神棚に供えてお下げしてから使います。無い家は、元旦の朝日が当たる窓辺などに置いて、朝日を拝んでからお下げすると雰囲気が出ていいと思います。なお、若水は誰にも会わずに汲みに行くものとされ、万が一人と出会ってもおしゃべりをしてはいけないと言われています。
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正月二日に、こうして汲んだ若水を使って刃物を研ぐのです。手斧始の名にあやかってカンナがいいですね。カンナをお持ちでない方は、ノミでも小刀でも何でもいいでしょう。ゆっくりと心を落ち着けて、道具と対話するつもりで研ぎ上げましょう。こうして、研ぎ澄まされた感性で様々な作品作りに取り組んでいける年であるようにと願うのです。


ついでに、キッチンの包丁なんかも研いで、家族サービス事始めと出来るといいですね。DIYはただ自分が面白ければそれでいいというだけでなく、実際の暮らしに役立っていってこそ価値があるわけですから、家族サービスの心も忘れてはなりません。


研ぎ上がった刃物と砥石を前に、今年も一年よろしくお願いします、パンパン(柏手)。これで儀式は終了です。きっと心洗われるひとときになると思うのですが、いかがでしょう。


刃物なんて研げないよという人もいるかと思いますが、道具の手入れは物作りの基本中の基本ですから、こういう計画を機会に研げるようになっておくといいですね。そうしたことを通じて、なお一層DIYが楽しくなっていくと思うんです。


以上は主に木工好き、日曜大工好き向けの計画案ですが、もちろん電子工作、金属工作、模型作り、革細工、ガラス細工、その他あらゆる物作りのための事始めが考えられると思います。電子工作好きなら「ハンダ付け始め」なんて楽しそうですね。さぁ、皆さんならどんな事始めの儀式をお考えになるでしょうか。


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