「紙玉でっぽうを作って遊ぼう」by id:Fuel


紙玉でっぽうの構造はほとんどの方がご存じだと思いますが、実際に作って遊んだことがある人は、今や少数派ではないでしょうか。ましてや現代は、そんな物の存在すら知らない子供もいるかもしれません。ぜひ実際に作って遊んでみましょう。


材料は、押し棒にする適当な棒と、押し棒が差し込める内径のある適当な太さの篠竹です。篠竹は節のない部分を15cmほど。都会ではなかなか手に入らないと思いますが、壊れた釣り竿やハタキの柄、その他適切な太さの筒状の物ならたいていの物が使えますので、身の回りの物を探してみてください。必ずしも竹である必要はありません。ただし金属パイプは危険なので避けてください。


押し棒には、ちょっと長めの割り箸などが使えます。お祝い事などに使われる箸は末広がりの縁起を担いで八寸と長いことが多いので、捨てずに取っておくと色々な工作に使えますね。必要な長さは、篠竹(あるいは代用品)の長さプラス5cmくらいです。


作り方は非常に簡単です。砲身はただの筒ですから、15cmくらいに切断した篠竹(あるいは代用品)の切断面を危なくないように紙ヤスリで磨って丸めれば出来上がりです。素材に篠竹が使える場合は、ノコギリなどで切断するより、小刀などの刃を当ててコロコロ転がしながら切っていった方が、割れやささくれが出にくく上手に切れます。カッターナイフは刃を長く出すと折れやすく危険なので避けてください。


押し棒の片側には柄を付けます。柄は、適当なボロ布を包帯のように細長く裂き、それをきつく巻き付ければいいでしょう。最初に数回、棒の端を包むように行ったり来たりさせてから巻き始めていくと、押した時に布がずれにくくなります。押し棒を砲身に全て差し込んだ時、砲身の先端から内径の長さ分引っ込んでいるくらいがベストの長さですので、柄の長さでそれをうまく調節してください。


出来上がったらさっそく撃ってみましょう。玉にするのは、柔らかく、よく水を含む紙です。濡らした紙を砲身の内径にジャストフィットする大きさの玉にして、まず砲身の先端に詰め込みます(先玉)。砲身の手元側にも同じように濡らした紙玉を詰め込んで(後玉)、押し棒で押していくと、中の空気が圧縮されて、その圧力で先玉が勢いよく飛び出します。2発目からは後玉が先端に移動して先玉となっていますから、後玉を詰め込んで押すだけで次々発射させられます。


紙玉でっぽうのお約束は、絶対に人や生き物に向けて発射しないこと。紙玉ですから大した危険はありませんが、それでも飛ばすおもちゃは人や生き物に向けないのがルールです。的(まと)を作ってそれを狙ったりして遊んでください。


そのほか、押し棒を早く押した時とゆっくり押した時の勢い・飛距離・発射音の違いや、ゆるい玉ときつい玉での違いなども、色々試して体感してください。なぜ違いが出るのかを考えると、ちょっとした理科の勉強にもなりますね。

ついでに飛ばす弾が紙であることのメリットも考えてください。おもちゃの銃の弾というと今はプラスチック製の物が主流ですが、通常弾は生分解性が無く、回収されない弾はずっとそのまま残ってしまいます。セミバイオ弾は一応分解されることになっていますが、実際には20年たっても形が残っているだろうと言われています。バイオ弾は生分解性プラスチック製ですが、これも自然に還るまでには2〜3年かかり、その間に鳥などの生き物が餌と間違えてついばんでしまう危険性があります。こうした物に比べて紙玉は、仮に生き物が餌と間違えてしまったとしても、ずっと安全性が高いですね。


そういう紙という素材の自然界へのやさしさも、紙玉でっぽうの良さの一つです。もちろんゴミになる物を公共の場所に撒き散らしてはいけませんが、美観を損ねる、散らかすということと、自然界の生物にまで影響を与えてしまうことの違いは大きいですね。楽しい遊びと一緒に、紙玉とプラスチック弾との環境中での影響の比較も、ぜひ話し合ってみてください。


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