「手軽で楽しい紙版画」by id:momokuri3


版画というと木やゴムを彫刻刀で彫って版を作るのが一般的ですが、切り抜いた紙を版にして刷る紙版画というものもあります。もしかしたら小学校の低学年の図工でやったことがあるかもしれませんね。これをイエでもやってみましょう。


素材は適当な厚紙です。お菓子の箱などを開いて使えばいいですね。厚みは適当でOKです。大きさが必要なら薄手の段ボールなどを使っても構いません。


版作りの手順は、だいたい次の通りです。
たとえば人の顔を作るとします。まず顔の形に厚紙を切り抜きましょう。髪の毛の形も切り抜きます。眉、目、鼻、口などの形も切り抜きます。何だか福笑いのようになってきました。これらのパーツを、顔の形を台にして、配置を考えながら糊で貼り付けていきます。目の中などは別途丸く切り抜いた瞳を、さらに貼り重ねるといいですね。


パーツの切り出しは、シャープな輪郭を表現したい部分はハサミやカッターなどを使い、髪の毛など柔らかい輪郭としたい部分は手で千切るといい感じに刷り上がります。前髪やほつれ毛などは、紙紐や毛糸、凧糸などを貼り付けて作ってもいいですね。細い線が簡単に表現できます。


体も作ってしまいましょうか。まず台になるボディを切り抜きます。服には凹凸のはっきりした布などを貼り込むと面白い表現になります。厚紙をボールペンなどで強く凹ませながら線を描いて模様を表現する方法もあります。凹んだ部分が白抜きになります。とにかくこんなふうに切って貼って、重ねたり凹ませたりしながら版を作っていく。それが紙版画です。


さて、ここからがちょっとした裏技です。版が出来たら、表面に薄くニス掛けしてしまいましょう。こうすることで紙の版が堅牢になりますし、無駄なインクの吸い込みが無くなるので、版画インクの節約になるのです。素材が紙ですから、使う塗料は油性の物を使ってください。水性塗料では紙が波打ってしまったり、糊が溶けたりしてうまくありません。これは大人の人がやってあげるといいですね。気泡や塗りムラが出ないように、上手く塗ってください。厚塗りをすると失敗しやすくなります。


刷りに必要な道具・材料は、
・版画用インク
・インク練り板
・ローラー
・バレン
・不要な古新聞
などです。版画用インク、インク練り板、ローラーなどは画材店で購入できます。バレンも同様ですが、大きな作品を刷る場合は、それなりの大きさの物を用意してください。画用紙くらいの大きさの物を刷るなら、直径10cm以上の物が使いやすいと思います。ハガキ大くらいの作品なら、小さな物で十分です。


周りを汚さないように新聞紙を敷いたら、練り板の上にインクを出します。ローラーで均一に伸ばしながら、よく転がしてならしていきましょう。出したままのインクは固いので、ここでよく練っておくのがきれいな刷り上がりのポイントです。


別途新聞紙を用意し、刷る紙と同じ大きさの枠を赤鉛筆などで引きます。その枠の中に版を置いて位置を決め、さらに赤鉛筆で印を付けておきましょう。版を別の新聞紙の上に乗せてローラーでインクを付けたら、印に合わせて元の新聞紙に戻し、刷る紙を乗せます。紙を乗せる時は二人でやると上手くいきますね。あとは、紙を動かさないように注意しながら、ひたすらバレンで均一に擦ります。紙の中心から外側に放射状に、あるいはクルクルクルと螺旋を描きながら、版画インクの油が紙の裏に滲み出てくるくらいまで擦りましょう。そして厳かに紙をはがすと…完成です!!刷り上がった版画はインクが乾くまで、別の新聞紙に挟んでおきましょう。


このように刷りの作業は少々大がかりになりますが、版作りは紙ですから、低学年の子供でも十分取り組めます。今の季節なら、紙版画で年賀状作りなんていう計画も出来そうですね。版作りは子供、刷りはお父さんお母さん、親子のコラボレーション年賀状はいかがでしょう。PCで作る年賀状全盛の中で、キラリと光る新年のご挨拶が出来るかもしれません。


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