「〈歌を描く〉お絵かきあそび」by id:MINT


子供は言葉の意味が分かっているようで分かっていませんから、一時代前の童謡などは、なかなか内容がつかめません。最近童謡が衰退しているように感じるのには、そういう理由もあると思うんです。


でも、歌いながら、その歌の世界を絵にしていけば、はっきり内容がつかめます。
「いーらーかーのなーみーと、くーもーのなーみー、いらかって何?」
「屋根の瓦とか、屋根の三角のところの意味よ」
「そうかー。お屋根、お屋根、瓦屋根」
「瓦の屋根って、ちょっと模様が波みたいじゃない?」
「あ、ほんとだ、そうかも、ぐりぐりぐり」
「雲も書いてみて」
「くーもーのーなーみー、できました」


(中略)


「たーちーばーなかーおーるー、これって人の名前?たちばなかおるちゃん?」
タチバナっていうのはミカンの仲間の木のこと。5月から6月ころに花が咲くのよ。その花の香りがする、っていう意味ね」
「あ、そうか、たーちーばーな、みーかーんー、どんなお花?」
「白いかわいいお花よ」
「こんなかなー、できましたー」


こうして歌に歌われた様子を絵にしていくと、難しい言葉だらけの昔の歌も、ちゃんと子供の心に届いていきます。こんなふうにして、私は歌のお絵かきを楽しんでいました。時にはこの世には有り得ないような、とんでもない絵になってしまうこともありましたが、そんな時はお母さんが正解の絵を書いてくれます。あ、そういうことなのかとよく理解できたところで、一緒に歌います。絵を見ながら歌います。これはとても楽しい時間でした。


今は大人でも、古い歌に描かれた世界が思い浮かばない人が少なくないと思います。でも、時代が変わってしまったから、社会の様子が変わってしまったからという理由だけで、せっかくのすばらしい歌が消えていくのは残念ですね。ですからまず、ぜひ大人から、この歌のお絵かきをやってみてください。


「たなばたさま」の「きんぎんすなご」の「すなご」って何?
「里の秋」の「おせど」って何?
「われは海の子」の「とまや」って何?
調べて、絵に書いてみれば、イメージがはっきりしてきます。そうしたら、今度は子どもさんと一緒に。こうやって絵でイメージを膨らませながら歌い継いでいけば、きっといつまでも美しい歌が残っていくでしょう。もちろん、簡単に意味が分かる歌も、どんどん絵にしていってくださいね。童謡は、かわいい絵が書ける歌ばかり。絵を書いて歌えば、もう子供はその歌が大好きです。そんなレパートリーを、親子でたくさん増やしてほしいと思います。


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