★★★(三ツ星)
秋葉原界隈に、はんだづけカフェというのがあります。「電子工作のための道具や場所をシェアすることができるオープン・スペース」ということで、居座って電子工作に没頭するもよし、気軽に立ち寄って同好の士との交流を楽しんでもいいというスペースです。
http://handazukecafe.com/
http://handazukecafe.blogspot.com/
これを家庭でやってみませんか。
工具はとりあえず、ハンダゴテとハンダゴテ台、ニッパー、ラジオペンチ、ピンセットがあれば、基板のハンダ付け作業には困らないでしょう。これに測定器としてテスターが一台あればなおよし。あとは順次、カッターやヤスリ、ドリルなどのケース工作に使う工具、その他ドライバーなどのごく一般的な小物工具を揃えていけばいいですね。
家族みんなが電子工作の達人なら、もうこうした準備だけで自発的な工作が始まると思いますが、これから電子工作に挑戦してみようという人は、キットを活用してみましょう。ホームセンターのような所でも、AMやFMのラジオ、ヘッドホン出力の機器をスピーカーで鳴らす小型アンプ、発光ダイオードを光らせたり電子音を鳴らしたりして遊ぶ装置など、なかなか楽しそうなキットが並んでいるのを見かけることがあります。とりあえず何か一つ作ってみれば、それで電子工作のアウトラインがわかってくるでしょう。
こんな本も出ています。
ELEKIT 入門+実用キットではじめる 電子工作キット活用術 (Electronic hobby kits)
- 作者: 松本幸夫
- 出版社/メーカー: 技術評論社
- 発売日: 2005/03/04
- メディア: 大型本
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キットにはたいてい作り方の説明書が同封されていますが、こういう本で予め作りたい物を選んで、事前に知識を蓄えてから取りかかれば、さらに成功率が上がりそうですね。初めてハンダゴテを握る人のためのノウハウやアドバイスも要領よくまとめられている、なかなか優れた入門書だと思います。
今は、ほとんどの電子機器が、機械で組み立てられています。人間が基板にパーツを装填してハンダ付けをしていくことは、ほとんど無くなりました。でもほんの数十年前までは、全てを人の手が行っていました。人工衛星に搭載される電子機器すら、熟練工の手によって、ひとつひとつハンダ付けされていたんです。そういう技術を現代に継承していくことは、とても大切なことでしょう。
また、現代の電子機器はブラックボックスです。携帯電話にせよオーディオプレイヤーにせよ、ケースの中身がどうなっているのかを見る機会はほとんどありません。PCだって、マザーボードだのビデオカードだのといった基板単位で扱うのみで、それぞれの基板がどういう回路になっているのかということを意識することは稀になっています。そういう時代だからこそ、自分で回路を追いながらパーツを装填してハンダ付けをしていくことは、とても貴重な体験になっていくと思うんです。それがたとえ簡単な回路であったとしてもです。
電子回路という科学。そして電子工作という技術。これを家族で肩を並べて楽しめるスペースは、クリエイティブな大人の趣味の場としても、子供の学びの場としても、きっと意義深いものになってくれると思います。
ちなみにわが家では、私の部屋の一角がそんなスペースになっています。複数の作業を並行して行えるようにと用意した会議室用のような長机。ここに椅子をプラスすると、家族や友人と一緒に電子工作が楽しめるイエ・はんだづけカフェに早変わり。ちょっとした測定器も並べてあるので、それを目当てに時々友人が自作アンプの調整などにやってきます。技術談義に花を咲かせつつハンダゴテを握る時間は、なかなかすてきな癒しのひとときでもあります。