★(一ツ星)

「普段キッチンに立たない人から学ぶお料理教室」by id:TinkerBell


普通のお料理教室とはちょっと違う、イエでのスタディタイムならではの企画を考えてみました。
それは、普段家庭の中で料理を作る役割を担っていない人を講師にして開くお料理教室です。


たとえば普段は仕事のお父さん。
外で食事をする機会が多い分、色々な料理に接しています。
それに今は色々な食に関する蘊蓄が出回っていますから、男の人ほど料理に対する造詣は深かったりすると思うんです。


子供も、料理に関してはなかなかの知恵を持っています。
今まで、たくさんの料理マンガがありました。
今もいくつか、子供に人気の料理アニメがあります。
その中から色々なアイデアを受けとめて、料理に対する夢を膨らませている可能性大。
そうした、家庭料理という枠の外から料理を見つめる視点に学ぶお料理教室。
開催できたら楽しいと思いませんか?


まず講師希望者を募りましょう。
わが家にいなかったら、親しいイエの人にも相談。
きっと普段は料理をしていなくても、いざ作るとなればちょっとプロはだし、といったお父さんなどがいるはずです。
そういう人をおだてまくって、講師をお願いしちゃいましょう。


わが家の場合、父の従弟が意外な料理自慢だということがわかり、その得意料理を教えてもらったことがありました。
自慢料理はチャーハンです。
父は言います。「こいつは学生時代、よく俺たちにチャーハンを作ってくれたんだよ、それがまたうまいんだ」
その奥さんは、えー、結婚以来一度もそんなの作ってくれたことないですよと意外そう。
ご本人も「もうずいぶん作ってないからうまくいくかなぁ」と自信なさげでしたが、いざ料理が始まると、昔取った杵柄というのでしょうか、その手際はすばらしいものがありました。


まずは二人分ができあがって試食です。
「うわぁ、おいしい」
「あら、私が作るのと全然違う、これってプロの味」
「コツはどこにあるの?もう一度詳しく教えて」


だんだんご本人も乗ってきて、
「いいですか、まず最初は中華鍋の熱し方、ここに最初のコツがあるんです、これが食感の決め手になるんですよ」
「ご飯のバラし方は、温かいご飯と冷やご飯を使う時でやり方が違います。今度はさっきと違うやり方でやりますよ」
「中華鍋の動かし方はこう、レードルの動かし方はこう、合わせて動かすと」
うわぁ、ご飯粒が中華鍋の中で踊っています。
「もう味は、炒めただけで決まっています。だから使う調味料はこれとこれとこれだけ」
二度目は卵とネギだけの超シンプルなチャーハンでした。
ところがそのおいしいこと。


今度は私たち女性陣がやってみます。
「うわ、鍋、重い」
「ちょっとの力の配分で楽に持てますよ、こんな…感じ…かな」
「あ、結構いけます」
「で、こっちがこうで、こっちがこう、はい、思い切り」
「えいやっ」
「もっと米粒全体に油を回す気持ちで」
「はーい、師匠〜」


がっしがっし、できましたー。
師匠のお味見。親指立てて、GOOD!!
なんて感じで、すごく楽しかったんです。
このミニお料理教室を通じて、家庭料理の枠の中にはない、とても新鮮な気に触れることが出来ました。
そしてもうひとつの副次効果も。
あとで師匠(いつのまにか師匠になってます^^)の奥さんからメールがあって、
「最近あの人、おだてると何でも作ってくれるんだ、中華が得意で昨日は酢豚」
とのこと。こんな副次効果も、ちょっと見逃せませんね(笑)。


このように、普段キッチンに立っている人には新鮮な刺激を与えてくれ、普段キッチンに立っていない人にも料理の喜びを広げられるようなお料理教室が数多く開けたら、とても楽しいと思いませんか。
今度はうちの父にも、何かをやってみてもらいたいと思っています。
無理強いはできませんが、楽しんでやってもらえるなら、料理作りを通じたすてきな輪が広がっていきそうです。


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ミシュランコメント

これはまた新しい発想をいただきました! 普段の暮らしでは見えない、でも実は家族一人ひとりが意外な知識を蓄えている……それを発掘して楽しむスタディタイム。ここに挙げられたお父さんの料理講座など、わが家でもと思われた方が多かったのではないでしょうか? 私もふと思いました。たとえばレストランで仕事している弟は、もしかすると厨房仕事だけでなくいろんな場所の細かな清掃ハウツーや空間・テーブルコーディネートを知っているかも。仕事で海外出張も多かった父に、いろんな国の生活習慣をレクチャーしてもらうと面白いかも、など。普通に暮らしていると隠されたままの生きた経験や知識が、こんなスタディタイムによって掘り出されていく。この考え方そのものと、素敵なイエ・レポートに特大のを贈呈します!