「文月に手書きの手紙を書こう」by id:Cocoa


文月の語源は、七夕に詩歌や書道の上達を願って短冊を書いたことから、などと言われているようですが、「文(ふみ)」という言葉からまず連想するのは手紙ではないでしょうか。私ははじめて「文月」という言葉を知った時、手紙を書く月なんだ!と思いました。それ以来、なんとなく七月というと手紙を連想してしまうのです。


私は毎年七月が近付いてくると、今年は誰に手紙を書こうかなぁと考えはじめます。そして七夕の頃になると決まって、書きたい人を思い浮かべながらの便箋や封筒選び。これが楽しいのです。最も自分らしさが表せて、相手にも喜んでもらえる便箋や封筒。筆記具も考えます。ボールペンなんてだめ。私としては、手紙はつけペンで書く物と勝手に決めているんです。インクの色は、黒?それともブルーブラック?それよりもっと青い色をしたインクもいいなぁなんて考えながら、それに合った便箋の色や模様を考えます。


紙の質や、縦書き横書きの違い、罫線の幅、などなど。手書きの手紙はそんなことでも大きくイメージが変わっていきますから、迷いだすときりがありません。でも、そこが楽しいところ。こういうレターセット選びが、まず第一の私の七月の風物詩です。


続いての風物詩が、本番の手紙書きです。「文(ふみ)を認(したた)める」。漢字で書くと、独特の雰囲気がある言葉ですね。日頃、キーボードを打ちながら文章を綴ることに慣れていると、手書きで文章を綴ることに、一瞬違和感を覚えます。頭の中にある言葉がスムーズに文字になっていかない。最初はちょっとそこでまごつきます。


でも、すぐに文字を書くスピードと、頭に思い浮かべる情景とが同期してきます。キーを打って綴る文章と、手書きで綴っていく文章の違いはここ。キーを打つスピードで文を考えると、頭の中は会話モードになっています。口から出る言葉と同じ物をキーで打っているんですね。でも手書きで綴る文章の場合は違います。頭の中に色々な情景が浮かんできたりします。それを文章に変換して、さらに書きながら、紙の上に現れていく文字の形のイメージによって、言葉が調整されていったりもします。同じ文章によるコミュニケーションの手段でも、手書きの手紙と電子メールとはぜんぜん別物なんですね。


あ、文章に詰まった。そんな時は文香作りです。市販の文香も色々ありますが、自分で作るのも楽しいです。まず和紙で折り紙を折ります。折る物は何でもいいですが、中に香りのモトを忍ばせますから、それがこぼれ落ちないような折り方の物を選びます。紙を折って作るポチ袋なんて最適ですね。
参考例 http://ponponponta.com/kousaku/kousaku-ori.html
その中に、極薄の和紙かティッシュで平らに包んだ香りのモトを忍ばせれば、お手製文香の出来上がりです。香りのモトは、ポプリでもいいですし、好みのスティック香などをすり潰して粉にしてもいいですね。相手のことを思い浮かべながら、喜んでもらえそうな香りを選びます。


こんなふうにしてしたためた手紙をポストに投函。電子メールでは送れない香りも同封しての夏便り。文月に文書き。素敵な時間が楽しめます。


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