「七夕に五色のお茶で無病息災の祈りを」by id:MINT


五色の短冊で知られるように、七夕の風習には五行思想が深く関わっています。五行の木・火・土・金・水を色に置き換えると、それぞれ青(緑)・紅・黄・白・黒になります。前に東京杉並にある大宮八幡宮で古式豊かな七夕の行事をやっていると聞いて見に行ったことがありますが、宮中の伝統と同じといわれる乞巧奠の飾りには、この五色が見事に取り入れられていました。七夕の元祖は中国ですから、万物は木・火・土・金・水の5種類からなっているというこの古代中国の考え方と、今でもしっかり結びついているんですね。


ところで中国といえばお茶ですが、中国茶にも、緑茶、青茶、紅茶、黒茶、白茶、黄茶という色による分類があるのをご存じでしょうか。


緑のお茶は日本の緑茶と同じく、摘んだ茶葉が発酵する前に熱を加えて発酵を止めたもの。日本の緑茶と熱の加え方が違いますから風味も異なりますが、原理は同じです。この緑のお茶が最もベーシックな中国茶です。
青のお茶は、烏龍茶などの半発酵茶。入れると茶色っぽい紅茶に近い色になりますが、茶葉の色は濃い緑色。中国では深い緑を青と表現するため、こういうお茶は青の名で呼ばれています。
紅のお茶は、もちろん紅茶。高級紅茶として知られるキームンは漢字で書くと「祁門」で、中国安徽省にある地名です。
黒のお茶は、熱を加えていったん発酵を止めた緑茶を菌の力で発酵させた後発酵茶。入れた時の水色が濃いことから黒の名で呼ばれています。プーアール茶などがこの種類です。
白のお茶は紅茶のシルバーチップのような白い産毛の芽を摘んで、わずかに発酵させた軽発酵茶。
黄のお茶は、緑茶に水分を与えて軽く発酵させたお茶です。茶葉が黄色みがかっているのでこう呼ばれます。


中国茶の分類としてはこの6種類+花のお茶になりますが、五行では青と緑は一緒にしますので、青(緑)・紅・黄・白・黒のお茶を全部集めると、お茶で万物の元素が表せます。


七夕は三月三日、五月五日、九月九日の各節句と同じく、中国の魔よけ厄よけの習慣だったそうです。お茶は健康にもいいですから、ぜひ青(緑)・紅・黄・白・黒のお茶を集めてそれを七夕に飲んで、無病息災を願ってみませんか。一つのイエで全部揃えるのは大変かもしれませんが、私は友だちと手持ちのお茶を交換し合って、それぞれのイエで七夕の厄よけお茶会が楽しめる計画を立てています。


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