「五月は野鳥の声を聞きに出かけよう」by id:Oregano


今ちょうど愛鳥週間、バードウィークですね。バードウィークは1947年4月10日に第1回目の「バードデー」が行われたことに由来しています。
長く辛かった戦争が終わって1年ちょっと。そんな時代に、鳥を愛し、鳥に対する正しい知識を普及しようとはじまったこの運動は、きっと人々の心に大きな潤いをもたらしたことでしょう。
その後、4月ではまだ野山は雪の所が多いということで、1ヶ月ずらして毎年5月10日から16日までの1週間を「愛鳥週間(バードウィーク)」とするスケジュールになって、現在に至っています。


さて、5月は多くの小鳥達が繁殖期に入っていますから、小鳥達のさえずりに耳を傾けるのに最適です。
鳥の鳴き声には、1年中聞かれる「地鳴き」と、繁殖期だけに聞かれる「さえずり」の二種類があります。たとえば「ホーホケキョ」でお馴染みのウグイスの地鳴きは「チャッチャッ」といった地味な声。繁殖期以外はこの鳴き方しかしません。他にも多くの鳥が、繁殖期にだけ特別な鳴き方をします。


この鳥の鳴き声を人の言葉に置き換えたものを「聞き做し(ききなし)」と言います。誰が言ったか知らないが言われてみると確かに聞こえる、のソラミミみたいなものですね(笑)。ウグイスの「法・法華経」はその代表例ですが、他にも色々あるので、その代表的な物をご紹介してみましょう。


春から初夏にかけて低木の枝などにお椀状の巣を作っているホオジロは「源平つつじ白つつじ」または「一筆啓上つかまつり候」。最近では「札幌ラーメン味噌ラーメン」と鳴くとも言われています。枝先に止まって鳴いていることが多いので観察しやすい鳥です。


ツバメも今が繁殖期ですね。ツバメは「土喰って虫喰って口渋い」。これを早口言葉のように素早く言うと、ツバメの鳴き声に近くなります。


メジロも今が繁殖期です。梅が咲いているころはチーチーと地鳴きしながら梅の花にやってきますが、今は「長兵衛、忠兵衛、長忠兵衛」。これも早口言葉のように急いで言うと、メジロの鳴き声っぽくなります。


センダイムシクイも鳴き声が面白いので、よく聞き做しの話題で取り上げられます。それは「焼酎一杯グイ」。ちっちゃな鳥なのに豪快ですね。ほかには「鶴千代君(つるちよぎみ)」という聞き做しもあります。


キジの仲間のコジュケイは、まず最初に「ピィーッ、ピピィーッ」と鳴いた後、「コッジュケイ!コッジュケイ!」と聞こえる鳴き方をします。だからコジュケイというわけではありませんが、面白いですね。「コッジュケイ!コッジュケイ!」の部分には、「ちょっと来い!ちょっと来い!」という聞き做しが付けられています。


聞き做しがそのまま鳥の名前になったものにはサンコウチョウがありますね。「月日星、ほいほいほい」と鳴くので、月と日と星の三つの光で三光鳥です。


同じく鳴き方が「月日星」と聞こえる鳥にイカルがいて、これもサンコウチョウと呼ばれますが別の種類です。
イカルの方には「蓑笠欲しい」という聞き做しもあって、あるいはこれを「ミノカサキィ(蓑笠着い)」と聞いて、イカルがこう鳴くと雨。「アカベコキィ(赤いべべっこ着い)」と鳴くと晴れるという、イカル天気予報みたいな聞き做しもあります。
また「キヨコキー(清子来ぃ)」というような聞き做しもありますが、聞きようによってはこれが「キヨスクー」とも聞こえるので、JR駅売店のマスコットキャラにもなっています。ホームの売店のシャッターなどに大きく描かれた鳥の絵がイカルです。


こんなふうに、鳥のさえずりを人の言葉に置き換えた聞き做しも楽しい「耳で聞くバードウォッチング」。皆さんもぜひ小鳥の声が聞こえる場所に行ってみてください。


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