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箪笥といえば桐の箪笥。
祖母曰く、昔は女の子が生まれると庭に桐の木を植え、娘が成長して嫁入りが決まると
植えた桐の木を切って箪笥を作り持たせたのだそうです。
今は時代も事情も変り、嫁入り道具として欠かせない物になっているかは分りませんが
私は結婚する際に知り合いから、かな〜り古い(なんと明治時代の頃のもの)ですが
しっかりとした造りの桐箪笥を手に入れ、業者に綺麗に洗い直しをしてもらい
ピカピカになった桐の箪笥を結婚する際にもってきました。
金具や鍵穴もかなり古くなっていたため、新しい取っ手と鍵穴の金具の形、色などを選びました。
そのせいもあって、洗い直しと金具の代金で普通の箪笥が買えるくらいの費用がかかりましたが、
手間暇をかけてよみがえった箪笥には、とても愛着を感じています。
しかし、箪笥は桐がいいと本当に言われているのでしょうか?
桐箪笥の魅力を調べてみました....
1、まず軽いこと。
桐の比重は他の国産材に比べてもっとも小さく、桐箪笥は軽くて持ち運びに便利です。
2、そして美しいこと。
木肌は色白でやわらかく、まっすぐで美しい木目。桐箪笥には品と暖かみがあります。
3、丈夫なこと。
桐材には昆虫を寄せ付けないパウロニン、セサミンなどが多く含まれています。
また防腐力が大きいタンニンも多く含まれており、きわめて腐りにくいのです。
4.湿度を一定に保つこと。
乾燥した桐材は狂いが少ないため、隙間なく機密性の高い箪笥を造ることができます。
また外気の湿度変化に応じて膨張・収縮し、引出し内の湿度を一定に保ってくれます。
5、燃えにくいこと
桐は発火点が高く熱伝導率がとても低いので燃えにくく、また熱を受けても割れにくい性質を持っています。
桐箪笥に火がついて表面が黒く焦げてしまっても中まで熱を伝えにくく、衣類を守ってくれます。
6、吸水性がいいこと
これも火事の時に役立ちます。
消火の水をすぐに吸収し、火をよせつけないと同時に膨張して隙間をふさぐので中身を守ってくれるのです。
「火事になったら桐箪笥に水をかけろ」と言われています。
7、成長も早い
桐は生命力が強く成長も早いので、森林資源・環境問題の面からも効率のいい環境にやさしい資源だといえます。
8、再生できること
桐は、汚れても削れば元の木肌がよみがえります。
桐が箪笥になるまで
製材・乾燥・アク抜きに約3年かけます。これにより狂いのない丈夫な材が出来上がります
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熟練の職人が木目や色に気を配りながら同質の材を選別します
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木釘を打ち込む伝統的な技法で本体の枠組みが頑丈に組み立てられます
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引出しや扉はカンナで調整しながら隙間なく組み立てられます
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表面をうづくりで丹念に磨き、木目を際立たせます
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夜叉の実を煎じて作る天然の染料と、との粉を混ぜたものを刷毛塗りします
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乾燥させ、蝋を均一に塗ります
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金具を取り付けて仕上げです
桐は柔らかく、キズや汚れがつきやすいのが難点ですが、他の堅木と違って無垢板を使ってキチンと造られた桐箪笥は洗い直しをすることで新品同様によみがえるのが最大の特徴です。
表面の汚れを洗い、削りなおしをすると元の木肌が現れます。
塗装を施し、新しい金具をつければ新品同様。
(注:キズや汚れの程度にもよります)
きちんと職人さんの手で手造りされた桐箪笥は、再生を繰り返し、二〜三回は再生できるため、代々受け継いで伝えられるのです。
高温多湿の日本の気候には、常に呼吸し中の湿度を一定に保ってくれ、衣類を守るさまざまな
特性を持っている桐箪笥が最も適しているんですね。
さて私の桐箪笥は現在二代目です^^
あと一回は綺麗に再生できるということなので、いつかは私の子どもへ・・・と考えています。
時代を超えて、引き継がれる箪笥なんて素敵なことだと思いませんか?
地球にやさしく、機能的で美しく、古来からの伝統を守りつづける・・・そんな桐箪笥を大切にしていきたいと思っています。