「シルバーリボン」by id:TinkerBell


銀のリボンをご存じでしょうか。
これは脳や心に起因する病気への偏見をなくし、理解を促進することを目指した運動のシンボルです。


脳や心の病気は、とても多岐にわたります。
脳機能障害や脳血管障害、神経性の疾患、そして様々な精神疾患発達障害、知的障害。
認知症などもこの中に入りますね。
最近は、こうした病気や障害の存在だけは、よく知られるようになってきていると思います。
でもまだまだよく理解されていなかったり、あるいはいわれなき偏見が根強く残っていたりするのが今の社会ではないでしょうか。
それを変えていこうというのがシルバーリボンです。


シルバーリボンは、他の様々なリボンにメッセージを込めた運動と同じくアメリカが発祥です。
最初にこの運動を始めたのは、カリフォルニア州に住むジーン・リーシティという女性でした。
ジーンさんの長男が統合失調症にかかってしまいまったのです。
日本ではかつて精神分裂と呼ばれていた病気です。
ジーンさんたちは様々な偏見や差別に苦しめられました。
しかしジーンさんとその家族は、自分たちが立ち上がることでそうした偏見や差別をなくしていこうと、手作りの銀色リボンのバッヂを作り、周囲の人たちに着用してもらう運動を始めたのでした。
それが1993年のことだったそうです。
やがてこの運動はアメリカ国内のみならず、日本をはじめとするいくつかの国にも広がり、脳に起因する病気や障害を持つ人やその家族のことを理解し支えていく運動として、少しずつ広がりを見せてきています。


日本にも、いえ、私たちの周りにも、脳や心に起因する病気や障害を抱えている人がたくさんいますね。
でも、こうした病気のことがよく理解されていない今の社会では、そうした病気を指す心ない言葉がいまだに残っていることからもわかるように、たくさんの偏見がよどんでいます。


「シルバーリボン・キャンペーン・フォー・ザ・ブレイン・日本事務局」というところのサイトには、次のような文章が書かれていました。


脳に障害がある人について、書面で全てを説明することは困難ですが、自然界を例にとって考えてみて下さい。例えばヒマワリの種をまいたとします。その種が全部芽を出し、元気に育つわけではありません。芽が出なかったり、発育が遅れたり、葉が枯れたり、色が違ったりと、それぞれ様々ですが、この現象は、自然界の真の姿であり、それは人間の世界でも同様なのです。彼らは脳に障害を持つことを望んで生まれたのではありません。だから、私たちは、脳に障害がある人を優しく気づかい、共に生活していく責任があるのです。
http://www7.ocn.ne.jp/~lax/SR.html


本当にその通りだと思います。


人間は、出荷する作物じゃないんです。
花屋さんに出荷するヒマワリなら、育ちがよく大きな花が咲くヒマワリだけが価値あるヒマワリかもしれませんが、自然界ではどんなヒマワリにだって価値の違いなんてありません。
これはあらゆる病気や障害と呼ばれているものについて同じだと思います。
どんな人にも、個性の違いこそあっても、価値の違いなんてあるはずがありません。
そういう理解のもとに、あらゆる人間を大切にしていく運動。
それがシルバーリボンなんだろうと思います。


まだシルバーリボンは小さな運動です。
知らない人の方が多いかもしれません。
私もこれを知ったのはつい最近です。
でも、どうか皆さんも心の中に、銀のリボンを付けてください。
ネットでは、人を蔑む言葉として、わざと病気や障害を意味する言葉を使おうとする人が少なくありません。
PCの前に座る時にみんなが心の中に銀のリボンを付けるだけでも、ずいぶん世の中が変わってくると思います。
そしてそれは巡り巡って、自分のことも大切にされる世の中につながっていくと思います。
銀のリボンは、この地球に生きていく全ての人のための運動です。


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