★★★(三ツ星)

「テーブルをどけてしまうことで新しい空間を作る」by id:watena


以前ユニット畳というのが紹介されていましたが、ごく普通の洋室のリビングにそれを敷き、なんとなく生活臭漂う壁面にはポンポンポンと衝立を立てると、あっという間にお茶室ができあがります。
茶会といえば広間が使われることがほとんどですが、茶道の世界では四畳半以上を広間と言い、四畳半以下を小間と言って、少人数のお点前には小間が使われることも珍しくありません。ですからプライベートなおもてなしなら、かなり狭いスペースでも可能なのです。
茶釜は、昔ながらの風炉の形をした、でも炭ではなく電気でお湯を沸かすという便利な物がありますから、それを使えば大変手軽です(ただしかなり電力を消費しますから、その分をどこかで節電して、電気代の節約と温暖化の防止に努めてください)。
お花は、適当な花台を床に直接置いて飾ればいいですね。自然の木を磨き込むなどして手作りすると、お茶の場合は必ず入室時にしっかりと花を見てもらえますから、一緒に花台へのこだわりも見てもらえて、さらにおもてなしの心が伝わると思います。


イエピクニックのアイデアを読んで、友人が遊びに来てくれた時にやってみたこともありました。こちらはユニット畳の代わりにレジャーシートを敷いて雰囲気を出し、衝立の代わりに観葉植物を並べて周囲を飾りました。植物越しに壁面が丸見えですが、結構雰囲気は出ましたね。
食べ物は、サンドイッチもいいですが、この時はお花見のような重箱に色々詰め込んだ和風弁当でいってみました。いくつもお重を並べるとなかなか豪華で、中身は適当に有り合わせの素材を組み合わせて作った物を入れただけでしたが、おーと歓声が上がりました。
男ばかりの面子でしたから、ちょっと一杯欲しくならないかとなって、昼間から酒盛りが始まってしまいました。リビングがそのくらい雰囲気の出る空間に変わったということです。これはなかなかヒットでした。


ユニット畳を敷いた部屋に座布団を並べ、一人用のお膳を並べて和食を楽しんだこともありました。これは旨い干物が手に入ったのでそれをみんなで楽しもうと集まった時のことで、メニューはご飯に漬け物、冷や奴、味噌汁に干物というとても質素な物だったにもかかわらず、それらを塗りのお膳に並べて仲居さんよろしく運んでいったら、これもおーと歓声が上がりました。普通にテーブルを囲んで食べるだけなら本当に質素な献立ですが、こうして食べると、まるで格式のある旅館か高級料亭にでもいるようでした。干物の旨さもさることながら、一人用のお膳というアイテムが、リビングという日常の場所を、特別な空間に変えてくれました。


このように、何かを並べておもてなしの用意をするのと逆の発想で、普段ある物をどけて新しい空間を作ってみるのも、なかなか効果的ではないかと思います。


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★★★ ミシュランコメント

いつものリビングスペースを思い切って変身させちゃうアイデアのいろいろに心躍りました! 〈イエはてな〉のみなさまも好きな「イエ・ピクニック」をグリーンとともに楽しまれ、そこから和のくつろぎへと発展したエピソードを「お茶室」ユニットへさらに展開。小さな屏風か衝立と、半畳サイズでコンパクトな琉球畳をスペースに合わせて何枚か用意しておけば、すぐに和のお招き空間が出現する…。そこに電気釜があればいっそう素敵なお茶のおもてなしが出来ますね。小さなスペースで可能ですから、ソファなどそのままで、リビングの一角にしつらえてしまうことも出来そうですし、これをヒントにいろんなテイストの座の空間も考えられそう。手軽に出したり片付けたり出来る、極上のおもてなし空間に、★★★贈呈です!!