「私の動物暮らし日記」by id:TomCat


「自然」とは「人工的でない物」のことなのかもしれません。でも私は、「自然=命」と考えているんです。ですから私の自然暮らし日記は、イコール様々な命との触れ合いの日記。その中にはペットも人間も出てきます。とりあえずご覧ください。



5月○日
ニャーニャーと鳴く子猫の声がします。声を頼りに捜索してみたところ、茶トラの子猫を発見。大きさから推定する月齢はほぼ1ヶ月強というところでしょうか。まだ離乳直後ということですね。捨てられた形跡はないので、おそらく野良の子と推定。はぐれた親が戻ってくるかどうか、しばらく様子を見ることにしました。


しかし数時間待っても親が戻ってくる気配なし。猫は数が数えられないので、こうして子猫がはぐれてしまっても、気が付かないことが多いのです。どこかにいるであろうお母さん猫に『この子は私に任せてくれ、きっと幸せにするから』とテレパシーを送って、子猫を保護。その足で動物病院へ向かいました。保護したらまず獣医師による検診。これが基本です。ついでに病院で子猫用離乳食と離乳後用フードを買って帰宅。


自宅に戻り、ウイルス検査の結果が出るまで、他の猫とは別の部屋に住まわせることにしました。子猫はすっかり私をお母さんだと思って甘えています。ごはんを上げたら良く食べました。母猫とはぐれたこの子に、寂しい思いはさせられません。私はほぼ付きっきりです。


先住の大人猫は、やっとご主人が帰ってきたと思ったのに部屋にも来てくれないと不満そう。ごめんよ、ウイルス検査の結果が出てない子猫と接触した体じゃ、お前達に触れるわけにいかないんだ。風呂から上がったらたっぷり相手するから勘弁な。


後日、この子猫にはいい飼い主が見つかりました。今も幸せにやっています。


8月○日
夜、買い物に行ったら、お店の前の自転車置き場の近くで巨大な蛾を発見。モスラみたいなやつです。どうやらお店の灯りに引き寄せられてやって来た様子です。うわー東京にもまだこんなのがいるんだ、久し振りに見たなーと感動しましたが、この蛾さん、地面の上でヨタヨタしているだけで、つついても飛ぼうとしません。まさか産卵モードじゃないよね。


しばらく観察していましたが、このままにしておくと人に踏みつぶされかねません。かといって、ただどかすだけでは、また光に引き寄せられて危険な場所に出てきてしまうおそれもあるでしょう。困ったな、こういう商業施設から漏れる灯りは、虫を引き寄せない物にしてほしいのにな。これって自然保護のための大切な企業努力だと思いますよ。


なんて今ぼやいても仕方がありません。どうしようと辺りを見回すと、いたいた、同種の蛾さん。大きさを比べると片方がちょっと小さいので、おそらくオスとメスでしょう。しめしめと、両方そっとすくい取って人気のない所に運んでみると、どうやら2頭(蛾も1頭2頭と数えます)仲良くやってくれそうな様子です。わはは、蛾のお仲人さんやっちゃったよ。お幸せに〜。いい子を産むんだよー。


9月20日
東京、上野公園、不忍池付近一帯で、環境省などが主催する動物愛護週間中央行事がありました。私も主催団体の一員として参加。多彩な行事とたくさんの人出で賑わいました。ここに集まってくるのはみな、動物を心から愛する人達ばかり。でも、一歩この会場を出れば、本当に心から動物を愛し、尊ぶ人達はまだ少数派です。今でも年間数十万頭というおびただしい数の犬や猫が、行政に収容され殺処分されているというのが現実です。


これに対して、ドイツでは殺処分ゼロ。殺処分のための施設も存在しないのです。代わりに、捨てられた動物や迷子になってしまった動物達は、動物愛護団体が運営する「動物の家」で預かっていきます。ドイツには全国500を超えるこうした施設があり、犬猫に限らず、ウサギ等の小動物から馬などの大型動物、鳥類から爬虫類までが、ここで新しい飼い主の登場を待っています。収容期間に制限はなく、新しい飼い主に恵まれない動物達は、いつまででもこの「家」で暮らしていくことが出来るのです。


一つのプロジェクトにポンと何億もの予算がかけられる経済先進国日本に、なぜこうした制度が導入出来ないのでしょうか。それはひとえに動物愛護団体の力の弱さでしょう。ドイツの「動物の家」の主立ったものはほとんどが民間立で、その運営はボランティア活動と寄付によって成り立っています。日本の動物愛護団体もそのくらいの力を付けていかなければならないと、仲間と熱く語り合いました。


10月4日
アッシジの聖フランチェスコの記念日。動物の守護聖人であり、ヨハネ・パウロ2世によって「自然環境保護の聖人」ともされている聖フランチェスコの言葉に従い、朝、庭に麦粒その他の穀物を撒いて鳥達に食べてもらいました。


夕方、橋の手前の道を下がった所で、鳥達にパンくずを撒いている人を発見。鳥を驚かさないようそーっと近付いて挨拶すると、同じ動物好き同士。初対面でもすぐに打ち解けることが出来ました。パンをもらって私もそれを撒いていると、若い女性が恥ずかしそうに近付いてきて、「あの、私にもやらせてくれませんか」。あっという間に輪が3人に広がりました。

二人または三人がわたしの名によって集まるところには、わたしもその中にいるのである。
(マタイによる福音書 18章20節/新共同訳 日本聖書協会・刊)


自然の命を愛する人の輪の中には、きっと神様がいます。


10月○日
休みを利用して某県まで遠出。ドップリ日が落ちた夜道を走行中、前方に動物らしい姿を発見しました。減速して路肩に停車。ありゃりゃ、タヌキです。それもまだ子ダヌキ。推定生後半年といった感じ。車道のど真ん中でウロウロ歩き回っています。タヌキというのは真っ直ぐ歩かず、こうして遊んでいるみたいにウロチョロする習性があるので、交通事故に遭いやすいんです。


赤い信号灯付きの懐中電灯を持って車を降りて、後続車を警戒しながら保護。おーっと、車が来ました。信号灯を示して注意を呼び掛け、慌てて子ダヌキを抱きかかえて路肩に下がります。幸い子ダヌキは人に嫌なことをされた経験がなかったらしく、私を恐がる様子はありませんでした。


一応念のため、簡単な身体検査を行いました。四肢、瞳孔、出血その他、目視と触診による異常の有無を確認します。爪の様子もよく見ます。車との接触などによって激しく踏ん張った場合、爪にその形跡が見られることも多いのです。外見は正常に見えても、内臓を痛めていたりすることもあるので、細かい異状も見逃せません。


でもこの子ダヌキはほぼ異常なし。よかった、何ごともなかったようです。


道路の左手は山。右手の下の方には川に続く細い道になっています。この子ダヌキは、どちらに渡りたかったのでしょうか。車が来ないのを見計らって離してやると、山の方に帰っていきました。ばいばーい、もう車道に出てくるんじゃないよ。


人は野生動物の通り道を勝手に分断して車道を通します。だから動物の交通事故が絶えないんです。あの子ダヌキは、今も元気にしているでしょうか。


11月○日
某都立公園にセグロセキレイがいるという話を聞き、会いに行ってみました。セグロセキレイは日本全国で普通に見られる鳥ですが、水辺、特に河川の中流域などを好む傾向が強いので、川が汚く繁殖期に営巣する場所も乏しいその付近には、あまり定着していなかった種類なのです。


しばらく観察していると、いたいた。姿を現してくれれば、頭から背中にかけてが黒、お腹が白の逆パトカー模様なのですぐ見つけることが出来ます。近い種類のハクセキレイも似ていますが、よく見ればすぐ見分けが付きます。


しかし、私が見たその鳥は、なんと左脚の指が全て欠損していました。右脚の指も1本しか残っていなません。川岸の茂みの中などに営巣する鳥なので、おそらく釣り糸か何かにやられてしまったのでしょう。心ない人の捨てた釣り糸その他のゴミが絡まり脚が壊死してしまう鳥は、今も後を絶たないのです。痛ましいことです。


翌日、私の家の近くではありますが、河原の掃除に行ってきました。鳥類や魚類にとっては、どんな些細なゴミでも脅威です。命を危険に曝すゴミを平気で捨てていく人間に、鳥の落とす糞を嫌う資格なんてありませんよね。


12月24日
クリスマス・イブ。朝、バードケーキ(野鳥への贈り物とするケーキ: http://q.hatena.ne.jp/1228279432/194707/#i194707 )を窓辺に吊るして出かけました。


さて、クリスマスには、必ずこの書き込みを思い出します。
■クリスマスは街で天使になる! (id:CandyPotさん)
http://q.hatena.ne.jp/1165991818/61557/#i61557
今年もマチに繰り出して、自分に出来る「何か」を探しました。でも、今年はたいした出来事は無し。代わりに駅前で、いつもの自主清掃。動物と共に歩む人生を願う者は、人とも常に共にあらねばなりません。どちらも同じ尊い命なのですから。こんなマチへのささやかな奉仕も「動物暮らし」の一環です。


しかし、帰り道で事件は起こりました。ケーキを買いに立ち寄った店の隣の駐車場で、早々に酔っぱらいさんが寝込んでいたのです。スーツ姿の中年男性。イエでは家族が帰りを待っていることでしょうに・・・・。


もしもーしと声をかけてみましたが、泥酔していて意識レベルがかなり下がっています。以前にもこういうことがありましたが、その時はもう意識は無いわ、体温は低下しているわ、おまけに吐いた物が気道を塞ぎかけているわでもう大変。結局救急車を呼ぶ騒ぎになりました。お酒も飲み方によっては命に関わります。


が幸い、今回は呼びかければ反応がありました。
「もしもーし、お話しできますか?」
「あう・・・・」
「お家にお電話掛けましょうよ、携帯持ってます?」

 
やっとのことで携帯を取り出してもらって、自宅のメモリを出してもらって、はい、押しますよー、トゥルルルル。
「はい、掛けましたよ、お家の方とお話ししてください」
「あうー」
何とかご自宅と無事連絡が付いて、しばらくして車が到着。奥さんと高校生くらいの娘さんが出てきて、しきりに、すいません、すいませんと言っています。


いえいえ、きっと何かのお付き合いで断れなかったんでしょう、それに体調によっては少量のお酒でもこうなることがあります、お家に帰っても状態が優れないようでしたら、それはアルコールのせいと言うより何らかの体調不良が根本原因と考えて、すぐに病院に相談してくださいね、とお話しして赤十字救急員の認定証を見せると、そうなの?お父さん大丈夫?と、奥さんの顔が優しくなりました。よかったよかった。これにて一件落着です。良いクリスマスを!! 帰って私は、猫達と一緒にイブを祝います。


こうして色んな命と触れ合いながら、一年が暮れていきました。


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