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「家印」by id:Catnip


「いえじるし」と呼びます。家紋と同様の家を表すマークですが、家印は商家のトレードマークとして使われたり、土蔵の壁に表示されたり、家財用具や農機具などの持ち主を表す印などとして用いられました。林業などでは伐採した木に家印を付けて、誰の所有かを示したりもしたそうです。
一例を挙げると、次のページに見られるようなものが家印です。
http://20century.blog2.fc2.com/blog-entry-609.html
図形としての家紋と家印の大きな違いは、家紋の多くがが装飾的で精密な図形であるのに対して、家印の方は簡略化された単純な図形が多いことです。サッと墨書きしたり、木に彫りつけたり出来るように作られているのですね。
私の田舎では、今でも家印の焼き印がある古い農機具などを見ることが出来ます。昔は下駄にも同じ焼き印が押されたそうですし、提灯が使われていた時代にはそれにも家印が大きく墨書きされていたということです。
うちの本家の家印は「正」の字に「┓」を付けたもので、「┓」は大工道具の指金の形ですから、合わせて「カネショウ」と呼ばれるマークになっています。そして屋号も同じく「カネショウ」。昔は庶民は名字を持ちませんでしたから、その代わりに家単位の呼称としてこうした屋号が使われていたわけですが、うちの場合はこの屋号と家印がピタリ一致しています。今でも私が行くと、本家のご近所の方が「おやカネショウんとこのお孫さんだね」などと声をかけてくれます。
分家の屋号「新宅」は坂を上った山の中腹に家があるので、正の字の上に山形マークを付けた「ヤマショウ」が家印。正の字を受け継いでカネショウの一族であることを示しています。ちなみにカネショウもヤマショウも家紋は同じ。少なくともその地域では、家紋は一族を表し、家印は世帯を表す物として使われているようです。
私の家も分家ですから、家印を持つとすれば、正の字をもらって、それに何かの記号を付けた新たな家印を考案する必要があります。そこで考えたのが、正の字の下にミツカンのマークのような○を付けた物。読み方は「ショウマル」です。田舎に行って本家の人に見せたら、一族を表す文字を上に、自分を表す記号を下にあしらった、ご先祖様を尊んでへりくだる気持ちが表れた良い家印だとお褒めをいただきました。本家に認証されたので、これで私の家印決定です。帰って消しゴムハンコを作って、ノートなどに押しまくりました。これは中学生の頃の話ですが、今でも私のマークは「ショウマル」で、持ち物などにこの印を入れています。皆さんも自分の家印を持ってみてはいかがでしょうか。楽しいですよ。