「土瓶を買って来ました」by id:Fuel


今回のテーマはお湯かぁとお店を眺めて歩いているうちに、土瓶が目に止まりました。中に、いい感じの注ぎ口の細い物があったんです。これはコーヒーにイケると直感して、買って参りました!!
ドリップでコーヒーを淹れる場合、コツは細いお湯を高い位置からそろそろと注いでいくこと。こうして適度にお湯の温度を下げて、雑味の滲出を防ぐのです。そのためのヤカンは注ぎ口があまり太くない方がいいのですが、私が見つけた土瓶は、そういう用途に向いていそうでした。大きい土瓶もありましたが、私はコーヒー用として、小振りの1リットル強の容量の物を購入してきました。重量は、家に帰って計ってみたら約750g。これなら片手で楽々扱えます。


土瓶にはヤカンのように直火に乗せて使えるものと、そういう使い方を想定していない物がありますから、用途に合った物をよく確かめて購入することが大切です。
私が買ってきた物は萬古焼。これは陶器と磁器の中間の性質を持つ「?器(せっき)」に分類される焼き物で、堅牢で耐水性があり、優れた耐熱性を持つという特徴があります。産地は三重県四日市市。直火にかける陶器の代表格は土鍋ですが、四日市の萬古焼はその国内シェアの7〜8割を占めていますから安心感があります。
?器は普通、陶器と違ってガラス質の釉薬を塗りませんので、焼き締められた土の風合いが、地肌にそのまま現れます。私が買ってきたものは、銀色ともねずみ色ともつかない、渋く、それでいて美しい色をしています。お店の人が、使い込んでいくことでさらに落ち着いたいい風合いになりますよと教えてくれました。長く使っていくことが前提の伝統の品は、こういうエージングの楽しみが何とも言えませんね。


土瓶の使い方にほとんど難しいところはありません。お湯を沸かす用途に使う場合は、ただ普通に水を入れて火にかけるだけです。唯一の注意点は、急激な温度変化を与えないことくらいでしょうか。たとえば空焼きして熱くなっている土瓶に水を注ぐなど。さすがの土瓶も、こういうことをしたらピシッといっちゃいそうですね。火鉢などの上に乗せっぱなしにしておくと、水が全て蒸発して、空焼き状態になってしまうこともあるかもしれません。そういう時に慌てて水を追加したりしないよう注意します。あ、キッチンなどで火から下ろした土瓶を直にステンレスの上に置くのも良くなさそうですね。
あとは、ツルが籐や竹で出来ているので、コンロの火で焦がしてしまわないよう注意することでしょうか。土瓶に限らず、炎が大きすぎて外側に火がボーボーとはみ出すようなコンロの使い方は熱効率を悪くしますから、省エネのためにも炎の大きさに気を配ることは大切ですね。


さっそくお湯を沸かしてみました。火の回りがまろやかですから、とてもおいしいお湯が沸きます。コーヒーを淹れてみました。おいしい!そして体が温まります。たとえて言えば、薪で沸かしたお風呂は芯から体が温まると言いますが、土瓶で沸かしたお湯もそんな感じがするのです。お湯とは水の分子の振動が高まった状態のことですから、もしかして遠赤外線が作用することで、水の分子の集合の状態か何かが変わるのかもしれません。科学的な根拠は何もありませんが。


とにかく土瓶はとてもいい物だということがわかりました。ヤカンに比べれば高い買い物でしたが、その価値は十分にあったと思います。これからもずっと愛用していきたいと思っています。イエはてなのテーマのお陰で、わが家にまた一つ、すてきなアイテムが加わりました。


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