イエコト・ミシュラン

「誰にでも役に立つ簡単演劇講座」by id:atomatom


演劇というものは人に見てもらい、こちらの意図を伝えてるという様式を持つ文学であり、芸術でありますから、わかりやすく伝えるという技術に特化しています。
その技術は一般社会にも応用可能なものが多く、誰にでも役に立つ1日演劇ワークショップなんかどうでしょう。


まずは発声練習。
演劇でよく使われるのは北原白秋の「五十音の歌」アメンボ赤いな、あいうえおってやつです。
大切なのは大きな声を出すということよりも、大きく口をあけるということ。
普段喋っているときよりも口を大きくあける。聞き取りやすい発音は口を大きくあけることから生まれます。
それから母音が頭に来る単語に注意。
たとえば「イエ」とか「浮きも」「お祭り」こういう語は特に注意して発音すること。
バラは昔は「イバラ」だったんですよね。頭の「イ」が発音が面倒なのでいつしか落ちてしまったんです。「ウオ」もいつのまにか「サカナ」という語に取って代わられました。
母音にご用心です。
発音の練習の後は簡単なセリフのやり取りをしてみましょうか。
2人組になって「●●さん」「はい?」という呼びかけと返事だけの簡単なエチュード
たったこれだけのセリフでも無数の表現世界があなたをお待ちしております。


2人がどんな距離で会話をするのかによって違ったイメージを作ることができます。
呼びかけられた後、どんなタイミングで返事をするかでまた違ったイメージが生まれます。


人は普通は呼びかけられたら呼ばれた方をむいて返事をします。呼ばれた方に目線を飛ばさずに返事をする練習もしてみましょう。これが結構、難しいんです。
普段の生活で何の意識もしていないで動いていることを、意識して動かす体験をしてもらえます。


今度は返事をするのと、首を動かすという動作を2つに分けてやってみましょう。
つまり、返事をまずしてから首を動かして呼ばれた方を見る。また、首を動かして呼ばれた方を見てから「はい」という返事をする。
人間は自然にこれらを使い分けているんです。普段の生活の中では誰でもできていることなんですが、意識してそれらを使い分けることができるかどうかを感じてもらうための演劇ワークショップなのです。


続いては鏡のレッスン。
向かい合わせに2人で座ります。
1人が人間を、もう1人が鏡を演じます。
鏡は人間の動きを忠実になぞります。
これで自分の体の動きを隅々まで意識できるようになります。
たとえば立ち上がるときにどんなクセがあるのか、手を伸ばすときの腕の角度、ひじの角度。
鏡にコピーしてもらうことでそれが見えてくるのです。
また鏡が動きをなぞりやすいように、鏡が反応するスピードも考えながら人間は動く必要があります。
相手の呼吸を計るという訓練もできるわけです。


いろんな劇団で体験ワークショップをやっています。
1日だけ参加してみると今までとは違ったものの見方、体の使い方ができるようになりますよ。