★★(二ツ星)

「子供部屋に応接スペース」by id:Oregano


子供もある程度大きくなってくるとプライバシーが生まれてきますから、子供部屋が次第に隔離されたブラックボックスになっていきます。そこで、子供の独立心とプライバシーを尊重しながら、同時に過剰な閉鎖性を防いでいく子供部屋プランを考えてみました。それは子供部屋に応接スペースを備えることです。
応接スペースといっても、立派な応接セットを置くわけではありません。床に適当なラグでも敷き、小さなティーテーブルが一つ。それで十分です。ここで子供は、人を招くという楽しみを知っていくわけですね。
こういうところから、
「なんで片付けや掃除が必要なんだよ、俺の部屋なんだから俺がよければそれでいいだろ」
から
「部屋をレイアウトしてそれを人に見せるって面白いことだな」
に変わっていくでしょう。しつけとは違う、自発的な子供のイエコトのスタートです。
子供はまず友だちを招くための準備から着手していくと思いますが、もちろん友だちだけでなく、お父さんお母さんもそこの客人になれます。いえ、なってください。家族という固定したつながりをちょっと横に置いて、「ホスト」と「ゲスト」という「ごっこ」を楽しむのです。
もちろんそれは堅苦しい接待ではなく、普段ならリビングでやっているお茶の時間を子供部屋に移動して楽しむといった気軽な物になると思いますが、それでも親しき仲にも礼儀ありですから、大人は他家に招かれたと同じように敬意を払いつつ「子供のお招き」を楽しんでください。
間違っても、なんだよ散らかってるなとか、趣味の悪い物を集めるななどと言ってはいけません。そういう客にあるまじき態度を取ると、せっかくの「ごっこ」が台無しです。
何か教育的指導をしたくなったら、それはお父さんやお母さんが主催する「ホスト・ゲストごっこ」でさりげなくお手本を見せていけばいいのです。
人が集まる家は幸せな家というような言葉をよく聞きますが、そういう幸せが訪れる子供部屋。固く扉を閉ざした子供部屋でなく、家族を招き入れる幸せが楽しめる子供部屋。この子供部屋計画には、設備よりも、子供の独立心とプライバシーを尊重するための配慮、たとえば、いくらオープンな部屋といっても子供の招きがない時には勝手に入室しないなどの配慮が必要です。
江戸時代の長屋には入り口に鍵などは無いのが普通だったそうですが、それでも居住者の許しなくして敷居を跨ぐことまかりならぬという厳格な規範があったので、特別な問題はほとんど起こらなかったようです。そういう信頼関係と子供に対する人格の尊重が土台となって、はじめて子供部屋のブラックボックス化が防げるのだろうと思います。
あれこれしつけに悩むより、親子それぞれに招き合って楽しい交流が繰り広げられるイエの方がいいですね。そんな視点から、私なりの子供部屋計画を考えてみました。


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★★ ミシュランコメント

子供部屋に応接スペース、こんな発想、今までにあったでしょうか?! ある日曜日に「今日は美味しい紅茶を入れますから、3時に私の部屋に来てね」って子供に言われてみたい! 子供も両親もなんて幸せだろう…。こちらもイエの中で子供の自立心や主体性を育むアイデアですが、まずは遊び、ゴッコとして楽しいお招き時間をつくり出す。そして自分の空間に人を迎える、もてなすということを日常的に覚えていく、素敵なアイデアです。何より、親子がお互いの人格を尊重しながらコミュニケーションしていくための空間という着眼が素晴らしい! 子供の自発性をさまざまに育むこの考え方とスペースづくりに、仰天の★★です!!