「ベランダの発泡スチロール田んぼの稲刈り」by id:MINT


わが家では冬至スペシャルデー。この日に炊く「冬至粥」のために、毎年小規模ですが、ベランダで稲を育てています。品種はキヌヒカリ。埼玉県の田んぼでいただいた一束の苗の子孫です。キヌヒカリという品種は首都圏や近畿圏などの気候に合った稲として作られたもので、兵庫県滋賀県、そして関東では埼玉県などで多く作付けされているそうです。ですから、首都圏のわが家でも、毎年すくすくと良く育ってくれています。
植え付けているのは発泡スチロールの箱に土を入れて作ったミニ田んぼです。それでは、わが家の稲作歳時記と稲の一生をご紹介しましょう。


・稲の赤ちゃん時代
毎年、前年に収穫した籾の一部を種籾として保存しておき、発泡スチロールの箱に作った苗代にまいて発芽させます。


・稲の幼児期〜小学生時代
それを発泡スチロールのミニ田んぼに田植えします。すると、苗代の段階ではひょろんと一本しか伸びていなかったような苗が、田植え後はどんどん分けつして立派になっていきます。この時期に熟成堆肥をちょっと追肥。水温にも気を付けます。溜まり水は藻がわきやすくなるので、時々水を捨てて、別に作っておいた日なた水と入れ換えます。


・稲の中学生時代
その後に中干しといって、いったん田んぼの水を抜く時期がおとずれます。稲もずっと根っこが水浸しではいけません。一度は土の中に空気を送り込んであげたほうがいいんです。こうすると丈夫な根が育ちます。


・稲の高校生時代
五日ほど中干しをしたらまた水を入れます。この頃から穂が育ちはじめます。稲の青春真っ盛りです。


・稲の大学生
稲の花が咲きます。花びらはないけれど、穂に花粉が輝きます。


・稲の就活期
いよいよ、実が育ちはじめます。実るほど頭を垂るる稲穂かなの時期です。この時期になったら鳥よけのネットで覆います。小鳥さんたちには別に麦粒をプレゼント。


・稲、いよいよ卒業、社会に飛躍
穂が出て40日くらいたつと黄金色になってきます。穂の8割くらいが黄金色になったら刈り取り時期です。刈り取った稲は根元で束ねて、風通しのいい場所に逆さにして干します。「はさかけ」です。
この収穫を、先日迎えました。夏に天候が優れなかったので実の入り方がどうかなぁとちょっと心配でしたが、今年もいい実りに恵まれました。こうして収穫された稲の穂の一部を取って枕の中に入れて、冬至の日まで毎晩一緒に寝て過ごします。

古代人は稲が実ると初穂を抜いて、それを寝具の中に入れて、冬至まで我が子のように毎晩一緒に寝て過ごしたんだそうです。それを冬至の日に臼で搗いて白米にして、新しく熾した火で炊きあげて神様にお供えしたんだそうです。宮中には新嘗祭という行事がありますが、元々はこうして炊かれた特別な冬至粥のことを新嘗と呼んでいたみたいです。
http://q.hatena.ne.jp/1224478095/189426/#i189426


稲を自分で育ててみると、新米の時期の感激がひとしおです。食べ物のありがたさ、尊さもよくわかります。種籾や苗の入手が難しいかもしれませんが、発芽玄米が作れる玄米なら種籾に使えますから、興味のある人はぜひやってみてください。たとえ茶碗一杯に満たないお米でも「わが家産」は格別です。


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