「新米のおにぎりを持ってお米のふるさとを訪ねる」by id:momokuri3


わが家にも新米がやってきました。新米とくればおにぎりです。さっそくおにぎりを作って家族で楽しみましたが、ただでさえおいしい新米のおにぎりを、もっとおいしく食べる方法を思いつきました。それはお米のふるさと、田んぼを訪ねて、その畦道に座って食べることです。
以前私は「ひこばえ」(根元から生えてくる芽のこと。刈り取りが終わった稲の株からも盛んに生えてくる)を育ててみたいといくつか田んぼを回ったことがありますので、その時に、この計画にぴったりな田んぼを見つけていたのです。
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さっそく新米でおにぎりを作ることにしました。もちろん何ごとも自作しないと気が済まない私ですから、お米を炊く所から自分で行い、最高のおにぎりの自作を目指すことにしました。師匠は、私に言わせると世界一のおにぎりを握ってくれる母にお願いすることにしました。母のおにぎりは本当においしいのです。
早朝。まだ暗いうちからおにぎり用の炊飯に取りかかりました。おにぎり用は、普段より心持ち水を少なめに炊くのがコツなのだそうです。母のおにぎりは、炊飯の段階からおにぎりに特化していたのでした。新米は水分含有量が多いので、事前に何度か炊いて、最適な水加減を調査しておくことが大切です。
炊けたらお寿司用の飯台に移して、一粒一粒が離れるようにほぐしました。昔は炊けたご飯は必ず「おひつ」に移したものだったそうです。飯台に移すことでそれと同じ効果が得られますので、この工程で日本のご飯本来のおいしさが引き出されます。
ここで「おひつ」ではなく飯台にしたのは、握る前に粗熱を取るためでした。熱いうちに握ってしまうと、おにぎりの中で発生した水蒸気が外に逃げられないため、せっかくのご飯が水っぽくなってしまうのです。冷めてもおいしいおにぎりとするためには、手で触れる程度の温度まで冷ましてから握ることが大切です。ただし温度が下がりすぎると握りにくくなります。
手水は水10に対して塩1(重量比率)で作った塩水です。これで手を濡らし、飯台の中のご飯おにぎり一個分をやさしくほぐし、ダマのない状態にしてから手に取って握っていきました。握り加減は寿司と同じ。外側はしっかりまとまっていながら、中心部はふんわりと空気を含む。この握り加減が大切なのだそうです。このコツを会得するまでには、ずいぶん時間がかかりました、
今回は新米のおいしさを味わうおにぎりなので具は入れません。ただの塩結びにすることにし、おかずは漬け物を別途添えることにしました。
こうして自作の最高のおにぎりが完成。大量の練習用失敗作を「お昼に食べてください」と父母に押しつけ、私は田んぼを目指して車窓の人となりました。
電車からバスに乗り継ぎ、バスを降りて少し歩くと、目指す田んぼがありました。道すがら柿の木があり、赤い実がたわわに実っていました。田んぼに到着すると、もうすっかり稲刈りが終わっていて、刈り取られた株からは、青々としたひこばえが芽を吹いていました。稲は本当は多年草ですから、冬のない国ならここから再び実りに向けたライフサイクルがスタートするのです。
畦道に立つと、ちょうど田んぼに影が落ちましたので、以前拝見したid:Lady_Cinnamonさんの写真を真似して私も一枚。影の周りに見える緑の草は雑草ではなく稲のひこばえです。



この後は畦道に腰を下ろし、ゆっくりとおにぎりを味わいました。晴れ渡った空の下、秋風の中で食べるおにぎりは最高の味わいでした。
今回私はおにぎりの極意を習得する中で、お米の奥深さ、日本の食の奥深さを学びました。そして伝統が培ってきたそのおいしさを再認識しました。日本が、質・量ともにこんなに豊かな食に恵まれているのは、稲作があるおかげですね。日本の稲作をいつまでも守り、応援していきたいと思いました。


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