「紅葉酒を楽しむ」by id:tough


紅葉酒といっても、紅葉をお酒に漬けるわけでも、杯に飾るわけでもありません。杯に紅葉を浮かべている写真などは時々目にしますが、実際にやってみるとあれは飲みにくいものです(笑)。そうではなく、紅葉を愛でつつお酒を楽しむこと。それが紅葉酒です。
楽天の詩に「林間煖レ酒焼二紅葉一 石上題レ詩払二緑苔一」というのがあります。林間でお酒を暖めるために紅葉を焼いた。なんとも風流です。
この詩にならい、庭のモミジを眺めながら燗酒を楽しむ。これがわが家の紅葉酒です。わが家のモミジはまだ小さく、これから育っていくモミジですが、それでも秋になると一人前に紅葉します。葉が色づいてくると、父が嬉しそうに、週末空けといてくれよと声をかけてきます。紅葉酒の誘いです。
肴は、湯豆腐。人肌のぬる燗と、熱々の湯豆腐。そこに爽やかな秋の風。いつの間にか母も加わって、おだやかな団欒の時が流れます。
紅葉狩りもいいですが、こんなふうにゆったりと穏やかに季節と語らうような楽しみ方は、外ではなかなか難しいと思います。その点、庭のモミジなら、心ゆくまでゆっくりと楽しめます。帰りの時間が気にならない。飲み過ぎて酔いつぶれても大丈夫。小さなモミジを愛でつつ、いつまでも親子で杯を傾けます。こんな週末の過ごし方もいいものです。


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