イエ・ルポ 2

「クラスの自主制作映画完成日」by id:watena


学生時代最大の思い出がこれです。高二の文化祭。もう来年は三年で思い切ったことが出来ない。今年しかできないでっかいことをやろうぜと話し合って決めたのが、自主制作ミュージカルの上演でした。しかしクラブ発表などでスケジュールが一杯で、体育館はクラスの出し物には使えないことが判明。教室での上演も考えましたが、色々制約が多く、私たちの自主制作ミュージカル計画は暗礁に乗り上げました。
しかしもう、台本や音楽は八割方出来上がりつつあります。わがクラスは才能に満ちていました。台本がクラスメイトのオリジナルなら、使う音楽も別のクラスメイトのオリジナルです。それぞれすでに大変な労力をかけて作られています。これを無駄にするわけにいきません。
そこで、生演技が駄目なら映画だ、という声が上がりました。よしやろうということになり、台本を担当していた女子が監督に。撮影は、父が持っていた機材が借りられるという理由だけで、私が担当することになりました。
わがクラスは本当に才能に満ちています。台本担当の女子はコミケ常連の同人小説作家でした。そこに同じくコミケ常連の同人漫画家が支援に入って、あっという間に素晴らしい絵コンテが。これで撮影のイメージが完全に固まりました。手芸の達人が衣装を作り、街を遊び歩いている連中が撮影に最適なロケ現場を選定し、役者は個性豊かな連中が勢揃い。
みんなの都合がなかなか合わず、撮影はかなり押し気味でしたが、何とか文化祭に間に合うスケジュールで取り終えました。そこからは私の孤独な編集作業です。カットの編集だけでなく、効果音などもこの段階で入れましたので、映像だけでなく音声の処理も入って、かなりの作業になりました。作業終盤はほぼ三日完徹になりました。もちろんその間、学校なんか行ってません。学生にあるまじき活動ですw
でもクラスのみんながフォローしてくれました。うちの親には仲間が家までやってきて、彼しかいないんです、ちょっとだけ見逃してくださいと土下座までして理解を取り付けてくれました。担任にはクラス委員だった女子が進退をかけて見逃しを嘆願。おかげで心ゆくまで作業に専念することが出来ました。
10 月23日早朝。ラジオが、今日は電信電話記念日ですと言っています。完成しました、みんなの映画。監督だった女子に電話をかけると、比較的家が近所だったクラスメイトに連絡が回って、登校前に完成作を取りに来てくれました。そして「○○さんから伝言、今日も学校はうまくやっておくからゆっくり寝て」。ありがとう、○○さん!!ぐー。
文化祭は大成功でした。なによりみんなの思い出が映像作品に残ったことが素晴らしい成果でした。クラス全員が何らかの形で制作に携わりました。全員の名前がスタッフロールに載りました。今でも当時のクラスメイトと会うと、この時の思い出が話に上ります。最近、この時の映像をDVDに焼いて配りました。いつかもう一度母校を借りて、そこでこれを上映する同窓会をやりたいと声が上がっています。私たちの文化祭は、まだまだ終わっていないようです。