イエ・ルポ 2

「8月18日 生まれて初めて自分の名前が雑誌に載った日」
by id:momokuri3


とある活動が認められて雑誌の編集部から執筆依頼が来たのは、まだ夏にもなっていない時期でした。突然知らない人から電話がかかってきて、記事を書いてくれませんかとのお話。びっくりしすぎて何が起こったのかもわからないうちに電話は終了。数日後に正式な執筆依頼の手紙が届き、「あれは本当のことだったんだ!!」。それまで私は、記事はおろか、名前すら本に載った経験がありませんでしたから、もう本当に驚天動地の出来事でした。
さっそく執筆に取りかかろうとしましたが、いざ書こうとすると、出だしの言葉が見つかりません。あれ?雑誌の記事ってどう書き始めればいいんだろう、拝啓読者様…違う違う、皆様はじめまして…たしかにそうだけどそんなふうに始まる記事なんて見たことない、などとアホなことで本当に悩んでしまいました。
何とか規定の字数にまとめて編集部に提出。少し構成を直されて、舌足らずを指摘された所などを書き直し。これがダメ出しってやつ?すげー、俺プロみたいなどと、不備を指摘されているのに喜んでいる変な私がそこにいました(笑)。
並行して参考図版や写真、参考文献の一覧などを作成して送付。ドキドキしながら電話を待ち、オッケーですの返事で万歳三唱。本という物はたったひとつの記事にもこんなに手間と時間をかけるのかと、一つ一つの記事の重さを知りました。
発売日の少し前、大きな封筒に入った掲載号が郵送で届きました。執筆者になると、まだ書店に並んでいない最新号が読めてしまうんですね。しかし私は自分の記事を見るのが恐くて、数時間はページをめくることが出来ませんでした。小心者なんです。
そして迎えた8月18日。雑誌が書店に並ぶ日です。この日はもううれしくて、あちこち書店をハシゴしてしまいました。掲載誌が平積みになっているのを見てはにんまり。買っていく人を見ると、思わず「ありがとうございましたーっ」と頭を下げてしまいたくなりました。
これと同じ感激を、私は去年の2月にも味わいました。もちろんこれが書店に並んだ時です。



本屋さんを見つけると飛び込んで、並んでいる所を探して回りました。
本は気軽に読み捨ててしまえばそれまでですが、一度でも作る側に立つ経験をしてみると、一ページ一ページに込められた重みがよくわかります。そういう稀有の体験をさせてもらった最初の雑誌が書店に並んだ日。それが夏真っ盛りの8月18日でした。