イエ・ルポ 2

「結婚時の桐だんす」by id:fwap


私には自分の持ち物がほとんどありません。
それでも、豪華なものよりも機能やデザインといったものを優先したあまり、豪華なものとはほど遠い生活になってしまいました。
しかし、私にも我が家の豪華一点ものと言えるものが自宅にはあります。それは桐だんす。そうです。結婚するときに、両親に買ってもらった桐だんすです。
両親や祖父母の思い、結婚してからこれまでの人生、それに衣服を大切に収めてきてくれた感謝の気持ちが部屋奥にたたずむ桐だんすに向かっています。


桐だんすの魅力は湿気に強いこと!衣服は湿気てしまうと、虫が湧いたりして古くから着物などの痛みの原因として人びとを悩ませてきました。
それが、桐だんすだと湿気に強い!鉄筋コンクリートのような湿気をためやすい部屋でも換気さえ注意していれば、安心して衣服を収納することができます。
古くからの家は、木造で基礎も木で作られてきました。それがいまでは金属で基礎を固め、湿気をためやすいイエが大半です。いわんや集合住宅をや、です。
それに、冷暖房が必要なここ最近の異常気象。このような住宅・気候環境の下では、桐だんすもやがては消えゆく運命だと思います。
除湿剤のようなものとプラスチック製の衣服ラックは便利で軽いものです。
少なくとも、若いうちはプラスチックの衣装ケースでも構いませんが、一生使う意味では桐だんすをオススメしたいです。


多くの人に尋ねるとプラスチックケースよりも木でできたたんすの方がいいという。
木の持つ優しさやぬくもり、安定感などどれも人工物では感じることもできません。
それに、木の持つ香りは、虫除けにもなりますし、リラックスするのに向いている自然の芳香剤です。


桐だんすは自分がお金を払ったわけではない、両親や祖父母が買ってくれた思い出深いものです。
いまは使われているタンスですが、自分の次の世代が必ずしも使うとは限りません。
ですが、自分の死後、誰かが私の桐だんすを使ってくれて、たんすが使える限り使われていく幸せな人生を送られることを願います。
そのためには、誰か引取先を探すことが私にとっての責任だと思います。
自分を派手に飾る、よく魅せるのが豪華なのではなく、ものをできる限り永続させることに心血を注ぐ、それが私の「もの」への豪華さだと感じております。