★(一ツ星)

「緑が街を覆う、グランドカバーの街」by id:YuzuPON


Green Week Action 2009で、自然の草を自然に生やす「雑草ガーデン」作りのルポがありました。そこからヒントをもらって、次のような街作りを考えてみました。
グランドカバーとは、地面を低く覆う植物のことです。園芸では様々な草が結構な値段で売られていますが、元々地面は草で覆われているのが当たり前でした。その当たり前を街の中に取り戻して、特に都会にありがちなヒートアイランドなどを防止していこうとする構想です。
一般に都市計画においては一定以上の面積の緑地の確保が求められますが、実は法律上の緑地とは空き地を指していることが多く、必ずしも植物で覆われた土地であることを意味しません。
しかし「グランドカバーの街」は、街全体が緑に覆われることを原則とします。もちろん、建物が建っている場所や、道路、駐車場、校庭、資材置き場、家庭の庭等々、草を生やしておけない土地はたくさんあります。しかし、屋上を緑化する、壁に蔦を絡ませる、パーゴラや緑のカーテンとして蔓状の植物を活用するなどして工夫すれば、その分の面積の代替を確保することが可能ですね。生け垣などの面積(高さ×幅で算出)も算入していいことにします。こうして街の土地面積以上の緑の面積を確保します。
建物の壁に蔦を絡ませるやり方は、草が生やせない土地の代替の目玉ですが、普通の建物でこれをすると、窓が開かなくなったり換気口が塞がれたりして大変です。そこでグランドカバーの街には、蔦を絡ませることを前提に工夫が凝らされたビルが建てられます。
屋上緑化も目玉の一つになり、マンションなどは住民に積極的な屋上利用を呼びかけるようになります。今まで屋上菜園などを夢見て果たせなかった人たちには朗報です。
一般家庭では、草取りをしたくないがために、庭をアスファルトで固めたり、砂利を敷いたりして手間も資金も書けてきた家が少なくなかったと思いますが、グランドカバーの街では草ぼうぼうの庭が讃えられます。今までは怠け者だ、だらしないと言われていた雑草の放置が、地球に優しい庭として誉められるようになります。もちろんガーデニングや庭木いじりを楽しみたい人は必要な草刈りをすると思いますが、なかなかそういう手間がかけられないという人も、手入れをしないという自然回帰で植物と仲良くする暮らしに入っていけるようになります。そのうち庭で秋の虫も鳴くようになるでしょう。
実際には枯れ草の処理など、課題は山積みです。しかし現代は、草を生やさなくすることが人間の街のしるし、雑草との戦いが景観の美化といった常識を、積極的に覆していく街作りが必要な時代だと思うのです。
理想は、人間が何も手を加えなくても自然に生えてくる草を生やすこと。しかしそう理想ばかりも追いかけては行けないので、芝生などを貼り込んで人工的な緑の土地を作ります。今はアスファルトの街を出て芝生に覆われた公園に行くと「緑はいいなぁ」と思う時代ですが、将来は芝生に覆われた街が人工的な街の代表例、ススキなどが生い茂る野原に行ってはじめて緑に触れた気持ちになるくらいに、街の緑化が進んでいる時代を作りたいと思います。


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ミシュランコメント

地面も壁も屋上も、そこらじゅう緑の草や蔦に覆われたマチを想像してみて下さい、まるで夢そそるジブリ映画の舞台のようではありませんか?! 自然豊かなマチづくりのメッセージを多く頂いた中でも、この「グランドカバーの街」プランは格別にユニークで、何だか自然本来のあり方のように思えてとても魅かれました。前にアメリカやカナダの自然景観地区のマチを訪れた時、きれいな街路樹や手入れの行き届いた芝生の庭が整然と美しくも、まるで触れてはいけないような仰々しさで、管理するのが大変だろうなぁという印象でした。それにひきかえ、雑草も小さな草花も菜園もそのまま暮らしの中にあるという姿は本当に素敵! ヒートアイランド防止効果や目と心への潤いはもちろん、ありのままの自然が日常に溶け込む素晴らしいプランに特大のを贈ります!