「夏越の祓(なごしのはらえ)にちなんでチガヤを探す」by id:Oregano


夏至の頃というテーマですので、だいたい時期が近い夏の大祓の話です。
6 月に入ると「今年ももう半分終わってしまったんですね」と言う人がいますが、それは早すぎます。本当に12ヶ月の半分の6ヶ月が終わるのは6月末日です。この6月の末日と12月の末日に行われる祓い清めの行事が大祓(おおはらえ)です。半年ごとにその間に犯した罪穢れを祓い清めて厄災を避けようとするもので、6月の大祓を夏越の祓(なごしのはらえ)と称します。
この行事は古く大宝律令(701年)によって宮中行事に定められています。応仁の乱の頃になると政情の問題からこうした行事は下火になっていきますが、それまではとても重要な儀式として位置づけられていたようです。おそらく行事を機会に衣服や調度などが新調されることで、雑菌が繁殖しやすい夏の衛生が保たれたことから、当時の人たちにはとても霊験あらたかな行事と映ったのでしょう。
この日には多くの神社で茅の輪潜り(ちのわくぐり)の儀式が行われるそうですが、うちの周りではそうした行事をする神社がありません。しかし茅については、茅の輪を腰につけて災厄から免れたという神話があることからもわかるように、輪をくぐることよりも、茅の旺盛な生命力にあやかったものと考えられます。そこで私は考えました。生命力にあやかるなら、野生で生えているチガヤを探してその原に立つのが最強ではないかと。それが一番の厄払いになるに違いありません。
チガヤというのはイネ科の多年草です。日当たりのよい空き地に地下茎を張り巡らせて一面に繁殖します。葉は30〜50cmくらい。ススキよりちょっとおとなしい感じです。特徴は初夏に出てくる真っ白な綿毛の穂。種子はこの綿毛に付いていて、風を受けてどこまでも飛んでいきます。そういう植物、それがチガヤです。
皆さんもぜひ、このチガヤを探してみてください。wikipediaに写真がありました。こういう草です。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%95%E3%82%A1%E3%82%A4%E3%83%A...
このチガヤ茂る野原に、青き衣をまといて金色の野に降りたつナウシカのように立ってみようではありませんか。そして緑の気を一杯にもらって、来たる夏を迎えましょう。旧暦の夏越の祓はもっと先ですが、今は神社も新暦の6月末日に行っているようですから、この季節なら、地域によってはちょうど真っ白な穂の出ているチガヤの原に立てると思います。いいことありそうな予感がしてきます。


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